バッテリーパーク発、スタッテン島行きのフェリー(無料)から拝める「自由の女神」。
はじめまして。俳優の本田真穂です。ニューヨークに住んで5年になります。
ニューヨークは、金融やビジネスやエンターテイメントの中心にふさわしく、世界中から優れた才能や技術が集まります。 ここでは、「目的がない」「夢がない」と言う人にほとんど出会いません。仕事、勉強、 遊び、自分探し、などなど、わざわざ母国や故郷を離れるに値するモチベーションがなければ、ラーメン1杯2000円もして、1年の寒暖の差が50度を超える、コンクリート・ジャングルになんて、長くはいられません。彼らは、打ち立てた目的を達成し、夢を叶えるために、いつでも全力疾走しています。
その様子は、ひたすら前方を見据えてみんなが走る、「マラソン」のようなイメージです。ライバルとの競争がシビアとはいえ、基本的には自分との戦い、という点も似ていると思います。ジムで黙々とランニングをしたり、完全防寒装備で野外のジョギングに励むニューヨーカーたちの姿は、冬場でもおなじみの光景ですが、「走ること」はニューヨークの象徴的なエクササイズだなぁと思います。
そんな人生のニューヨーク・マラソンを走り切るために不可欠な燃料は、「情熱」「健康」「お金」の3つです。
この3つがバランスよく燃えているうちは、自分の専門分野に心置きなく打ち込むことができ、道すがら手を差し伸べてくれる新しい仲間が増え、見えなかった景色がどんどん見えるようになります。毎日が楽しくてしょうがないことでしょう。
しかし、この3つの燃料はバランスが命。ひとつでも不足すると、真っすぐ進めなかったり、止まってしまったり、先を行くライバルに踏みつけられてケガを負ったりします。ひとりひとりが走ることに忙しいニューヨーカーは、わざわざ振り返って助けてくれたりなんかしません。
ひとたびどれかの燃料が尽きてしまえば、エンジンが暴発して、本体が木っ端みじんに...(!!!)。なんてこともあり得ます。だって、以前より治安がよくなったといっても、ここはニューヨークです。ドラッグ、暴力、犯罪、...と、奈落の底ならいくらでも落ちてしまえる怖い街です。
外国人であるわたしたち日本人ニューヨーカーには、この3つの燃料に加えて、立ちはだかる「英語」と「ビザ」の壁を飛び越えるための翼が2つ必要になってきます。
これらの5つの装備がすべてそろって初めて、山あり谷ありのニューヨーク街道をエネルギッシュに走ることができる「ニューヨー・カー」が完成します(だじゃれです)。
この街は人の出入りが激しく、夢を抱えて渡米する人、また、夢破れてボロボロになって帰郷する人が後を絶ちません。そんな厳しい環境の中、俳優たちはどのように、「情熱」「健康」「お金」をメンテナンスし、「ビザ」「英語」の壁に挑戦し、さらに専門分野の「演技力」を築き上げてサバイバルしているのでしょうか。このブログでは、華やかなスポットライトが当たらない所でたくましく生きる俳優たちの姿を、わたしの経験談を交えながら、現地レポートしたいと思います。
来るもの拒まず、去るもの追わず、自由の重みを痛感できる街ニューヨークへようこそ!