日本の職場は本当にLGBTフレンドリーになったのか?

現実に様々な職場で働く当事者たちが働きやすくなったのかというと...

例年、年度末は、年度内予算消化の事情もあるのか、企業や行政からのLGBTに関する研修依頼が非常に多く、虹色ダイバーシティのスタッフ一同、文字通り東奔西走しています。

昨年は年間100件以上、累計で50社以上の大手企業の主に人事部門にLGBT研修をしていますが、人事部門の皆さんは非常に熱心です。「目から鱗でした」「差別禁止規定を作ります」「福利厚生の検討をします」「管理職にもちゃんと対応するよう伝えます」など、研修が何らかの次のステップに繋がることも多く、嬉しいニュースも増えています。

しかし、現実に様々な職場で働く当事者たちが働きやすくなったのかというと、残念ながら、まだまだ「職場の雰囲気が変わった」と実感できている人は少ないのではないかと思います。

例えば、性的指向や性自認に関する差別禁止規定ができても、それを知らない従業員が多ければ、職場でしばしば差別的言動があるのは変わりません。差別的言動を見聞きしたら、当事者は「やっぱりまだ理解がない、ここでカミングアウトなんてできない」と判断します。ちなみに、私たちの調査によれば、差別的言動の有無は、当事者の勤続意欲に最もマイナスの影響を及ぼします。

同性パートナーに家族向けの福利厚生が適用されるようになったとしても、周囲にカミングアウトしていない当事者には、その申請のハードルが非常に高い。カミングアウトしたら周囲の自分を見る目が変わるのではないか、数万円の結婚祝い金のためにそんなリスクは冒せない、と思うわけです。それは私も、至極当然の判断だと思います。

私たちはNPOとして、性的マイノリティが働きやすい職場づくりをミッションに掲げていますので、人事向けの研修で終わりではなく、その職場の多くの当事者が働きやすくなったと実感できるまで支援しなければいけないと思います。これは女性活躍推進やイクメン推進と同じ話かもしれませんが、制度づくりの次は、それをちゃんと使える環境づくりが必要です。

職場の制度や意識がどう変わってきているのか、現状を把握し、今後の施策につなげるため、私たちは毎年、国際基督教大学ジェンダー研究センターと共同で、インターネット上でアンケート調査を実施しています。当事者も非当事者も回答できますので、よろしければ是非、ご協力をお願いいたします。

「LGBTに関する職場環境アンケート2016」

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Adam And Michael Levine

LGBTの家族がいるセレブたち