災害時、各家庭で備蓄しておくべき飲料水の量の目安をご存じですか?家族構成に応じて必要な水分量は違います。それに応じた量をストックしておくことが肝心です。
各家庭で備えておく必要がある飲料水量の計算方法
マンションで地震災害に遭った際には、給水設備の復旧にも時間がかかります。各家庭で、ペットボトルなどの飲料水を備蓄されていると思いますが、適正な備蓄量を家族の人数にあわせて計算してみましょう。
家族それぞれの、1日に必要な水分量を計算する
1日に必要な水分摂取量は、年齢と体重によっても異なります。家族の年齢と体重による適正値を知っておくとよいでしょう。
【1日に必要な水分量/体重1kg当たり】
- 乳児 120〜150 mL
- 幼児 90〜100 mL
- 学童 60〜80 mL
- 成人 40〜50 mL
(東京医科歯科大学名誉教授 藤田紘一郎著『知られざる水の「超能力」』講談社、2006年、p.183より)
例えば体重が50kgの成人の場合、1日に体重1kg当たり40~50mLの飲料水摂取が必要となります。ひとまず、50mLで計算すると、
1日あたり50mL×50kg=2.5L
の水分が必要目安となります。日常の生活では食事から1L程度の水分が摂取できているのですが、災害時には食事から摂取できる水分が限られますので、飲み水で必要な水分を摂ることになります。とくに汗をかきやすい夏は、多めに摂取することを心がけます。
家族全体で、1日に必要な水分量の合計を計算する
1人当たり必要な水分量の目安がわかったら、自分の家族全体分で計算してみましょう。たとえば、大人2人・子供(小学生)2人の、4人家族だったとします。
- 父:70kg×50mL=3.5L
- 母:50kg×50mL=2.5L
- 娘:20kg×80mL=1.6L
- 息子:30kg×80mL=2.4L
上記を合計すると10L。つまり、上記ご家庭には1日分10Lの飲料水が、必要な備蓄量の目安ということになります。マンションの場合、災害時の備えとしては約7~10日分用意しておく事が必要で、つまりは100Lということになりますね。なぜ、7~10日分の備蓄が必要なのかについては、次項でご説明します。
飲料水や食料、各家庭で何日分の備えが必要か
マンションの場合、目安は「7日から10日分」
震災発生時に外部から支援が来る目安を自治体では7日間で設定していますが、私としてはマンションの場合7~10日分程度備蓄を推奨したいと思います。
給水車や給水タンクがきても、5階以上のマンションにお住まいの方には、1日に数回も重い水タンクを運ぶ上り下りは体力的に大きな負担となります。また、マンションは構造物がしっかりしていますので、避難所ではなく自宅にとどまる可能性もあります。
ですから、目安として7~10日間はライフラインが止まっても自宅で過ごすことを想定しておきましょう。(高層階にお住まいの方や足腰に自信のない方は、さきほどの家族分の備蓄量の目安より気持ち多めにあればなお安心できますね)
備蓄の基本は、ふだん使う物を多めに買っておくこと
備蓄の基本は、ふだん使っている物を多めに買って、使う度に補充することです。ペットボトルやウォーターサーバーを愛用しているご家庭は、ふだんからストックを少し多めにして、使った分だけ買い足すようにすればそれが備蓄になります。
水道水や浄水器を使用しているご家庭は、備蓄分をポリタンクなどにストックしておく方法があります。給水車から水を運ぶためにも、飲料水用のポリタンクは用意しておく方がいいでしょう。
執筆/国崎信江
防災関連専門委員会所属。危機管理アドバイザーとして、全国で防災・防犯対策の講演を行う傍ら、NHKなどのメディアに多数出演し、広く防災・防犯情報を提供している。『マンション・地震に備えた暮らし方』(つなぐネットコミュニケーションズ)、『狙われない子どもにする!親がすべきこと39』(扶桑社)など、著書も多数。