収納好きなドイツ婦人・クララのマンション生活
今回は、収納が得意なドイツ婦人、クララのお部屋をご紹介いたします。森林浴にいつも私を連れ出してくれた写真家のクララは独身で、ひとり暮らしが長い人です。もう40年以上同じマンションに住んでいるのです。しかも賃貸で。
やはり一人という事で一番気になるのは、大切な書類やら銀行の通帳などのこまごまとしたモノを、いかにわかりやすく整理しておくか、という事らしいです。そういうクララは全ての写真撮影を快く許可してくれたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
(私も少しでも参考にしたいなと思いつつも、1日のばしにして、いつもわが家で探し物をしている始末です。)
クローゼット 天井まであるのでたくさん入る。1枚買えば1枚捨てるという風に量を増やさないようにしている
キッチンの棚の中もとても整然としていて、一度どうしてこんなに綺麗にしているのかと聞くと、
「人間いつ目が見えなくなるかわからないでしょう?そういうときにスパイスでも何でも置く場所をしっかり決めておけば、たとえ目が見えなくてもどこに何があるか把握できるからよ」
という返事が返ってきました。又本当は怠け者だから、こま目に掃除をしていけば大掃除などしなくてもいいからという事でした。
オレンジ色をアクセントに作ったキッチン
スパイスは全て順番に並んでいる。
ヨーロッパのマンションは、設備はDIYで設置し、個性豊か。
クララはオールマイティのパワーウーマンで、カーテンを自分で縫ったと思いきや、シャワーしかなかったマンション内のバスルームに、一番小さいサイズのバスタブを自分で設置しました。もちろん、その前にちゃんと自分好みのタイルを貼って。
オーストリアもそうですが、ドイツでマンションを購入したり賃貸する前は、だいたい空っぽの状態です。だから自分で気に入ったキッチンを入れたり、洗面所も好きなカラーにして、バスタブを入れたり、シャワーだけにしたりと本当に自由に決められます。壁紙を貼って個性を出す人もとても多いです。
また、私も昔そうだったのですが、キッチンをそのままゆずってもらうという事も、前の人と話し合って決めることができます。そして出る時もまっさらな状態にするか、そのまま後の人に売って行くか?と選択できます。
でも、ほとんどの人は「自分の住まい」にとてもお金をかけるので、おあつらえのモノでは満足できないのです。そのため、個性豊かなマンションが誕生するわけです。
来客用のコートかけもクララの手作り
クララの部屋 白木の家具で統一されている。無駄なモノは置かない主義
ヨーキーのギャラリー。名前はパシャ(ドイツ語で殿様という意味)
重要書類などは一目でわかるように整とんされている
引き出し 事務関係も一目でわかるように入れてある
さて、冬が長くて厳しいドイツでは、春から秋までバルコニーが大活躍。夏にはカラフルなパラソルが並んで目を楽しませてくれます。必ずリクライニングチェアなど置いてひたすら日光浴するのです。
自分で黄色くペイントをしたバルコニーからの景色
よほど寒くないかぎり、バルコニーがリビングルームに取って変わります。とてもポピュラーな「ブレックファースト」として、朝6時には開いているパン屋さんで、焼きたてのパンを数種類買い、サラミ、ハム、ゆで卵などを所せましとバルコニーのテーブルに並べます。
朝のテーブル ジャムのびんからマーガリンの器のふちまで奇麗に拭き取る。毎回キッチンペーパーでふちを拭き取るのは指がべたべたするのを防ぐため。これも生活の知恵。
日本ではあまり朝食に友人を招待する事はないのですが、ドイツではよくある事で、外の空気にあたりながら食べる焼きたてのパンは、最高のおもてなしなのです。週末だとシャンパンが付く事だってあります。
ドイツの人に限定する訳ではないけれど、大抵のヨーロッパ人は親しい人を自宅で、しかも手料理でもてなすのが一般的。そのためには自分の住んでいる所をくつろげるように整えて、不自由のないように気をくばります。だからドイツの人の家に招かれたら"Gemütlich"(ゲミュートリッヒ=心地よい、リラックス出来る)というのが最高の褒め言葉になります。
私たち日本人でも真似が出来る、収納のアイディアがクララのマンションから少しでも学べたら嬉しいです。
83歳とは思えないパワフルな年金生活者。色々取材させてくれてありがとう!
【ライター】パッハー眞理
ウィーン生まれ東京育ちのライター。35年いたウィーンから渡印後東京を基点に海外事情を発信中。
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