BLOG
2018年03月08日 16時01分 JST | 更新 2018年03月08日 17時37分 JST

女30歳で大学院入学。私がジェンダーを学ぼうと決めた理由。

研究したいことは、「女性の自己肯定感について」。

2018年4月より、お茶の水女子大学大学院でジェンダーを学ぶことになった濱田真里です。現在、企業で働いていますが、4月からも社会人をしながら学ぶ予定です。

両立に不安はありますが、周りには社会人大学院生を経験した方がいるので、「私もできるはず!」と言い聞かせています。

会社では海外で働きたい人のための情報サイトの運営をしていて、去年の10月まではタイのバンコクを拠点にしていました。その前はマレーシア拠点にいて約2年間アジアで暮らしました。

20代はずっと女性や海外で働く人たちを取材してきたので、30代から次のステージに進みたいと考えていた私にとって、30歳で大学院に進学することはタイミング的にとても良い区切りだなと感じています。

今回は、そんな私が大学院でジェンダーを学びたいと思った理由、そして研究したいことについて書いてみたいと思います。

◎私がジェンダーを学ぶ理由

私がジェンダー学を選びたいと思った理由はふたつあります。

ひとつは、自分の人生のミッションを「女性のエンパワーメント」と掲げているからです。この分野に興味を持つようになったきっかけは、大学時代に遡ります。私は学生時代に世界一周をして、アフリカのトーゴという国で1ヶ月間ワークキャンプに参加しました。

トーゴでの作業写真。道具もほとんどない中、水道の灌漑工事を行った。

ワークキャンプをした現地団体での活動を通じて、現状を変えようにも資金がない、人手がない、できることがない、というないない尽くしの中、奮闘する私に現地団体のリーダーが言った「This is our real(これが僕たちの現実なんだよ)」という言葉が私の中にグサリと刺さりました。

突然怪しげな話になって恐縮なのですが......!

個人的にここで「神の啓示事件」と呼んでいる出来事が起こります。トーゴに滞在して約1ヶ月が経ったある夜のことです。

夜中に暑くて目が冷めて、いつも枕元に置いている水を飲もうとしたのですが、その日に限って持ってくるのを忘れていました。どうしても水が飲みたかった私はゴザを持って部屋の外に出て、水を飲みながら星いっぱいの空を寝転びながら眺めていました。すると、突然思ったのです!!!

「あ、私の人生のミッションって、女性のエンパワーメントだわ!!!」

怪しいですよね〜〜自分でも書いていて思います(笑)。ちなみに当時は女性への活動などは一切していない、ただの大学2年生でした。

そして今これを書きながら思い出したのですが、空を見ながら色んな思いが頭に湧いてきて、ノートにガリガリメモをとりました。そこに書いた内容は「女性と政治」「女性のリーダーシップ」といった内容。

おそらく現地団体での活動を通じて、そして、「この現状を自分にできることで変えてやる!」と日々考え、ある時パッと思いついたのが「女性のエンパワーメントに関わる」だったのではないか......と推測しています。

実は私が大学院での担当教授をお願いしている先生は、「女性と政治」をテーマに研究されています。あの時の思いがちょっとずつ実現していて嬉しい!

マザーテレサがダージリンに向かう汽車の中で「修道会を出て貧しい人々につかえる決意をせよ。そして貧しい人々といっしょに生活せよ」という神のお召しの声を聞き、行動に起こしたことは有名な話ですが、私も恐れ多くも勝手にそのストーリーと重ねて「あれって神の啓示だったりして!?」と思い込んでいるわけであります。

そんなこんなで帰国した私は、まずは自分の力でできることを始めようと、2011年に日本人女性をエンパワーメントする目的で「なでしこVoice」を立ち上げました。今は日本人だけですが、いつかもっと力をつけたら、トーゴの女性たちとも一緒に活動してみたいです。

母校早稲田大学での講義の様子。ウーマンキャリアクリエイトという授業で毎年講演を行っている。

ふたつ目の理由は、ジェンダー学を学ぶことで、自分の思い込みや社会や文化の仕組みを捉えることができて、「私がこう考えてしまうのは、こんな社会的背景があったからか!」と気づく開放感があったからです。

私はずっと「女性という自分」に自信を持てずにいました(それと同じくらい、自分の意見を言うことを恐れていました)。

周りで評価されていたり、社会で良しとされている「女性像」から自分がかけ離れていて、「自分には欠陥がある」「他の子たちと同じように振る舞えない自分はだめなんだ」という想いを抱えていたのです。一言でお伝えすると「まったくモテなかった!」わけであります。思春期真っ盛りの自分にとっては結構大きな問題でした。

そんな私の認識を変えたのが、大学2年生で訪れたカンボジアでした。

初めて行ったアジアの国で、日本語学校に通う3人の女子生徒と仲良くなりました。すると彼女たちは、私が日本人で、カンボジア人よりも肌が白いというだけで、「キレイ!美しい!!かわいい!!!」と褒め称えたのです(彼女たちは白い肌に強いあこがれを抱いていました)。

その時の私の格好は、Tシャツ、短パン、ほぼノーメイク。日本で言う「キレイ、美しい、かわいい」の基準からはかけ離れていましたが、それでも「あなたはそのままで十分キレイだよ」と言ってくれる彼女たちに衝撃を受けました。私が自分を当てはめられなくて悩んでいた『こうあるべき女性像』は、日本ではそうだとしても世界の基準ではない」と体感したのです。

「私は私」と割り切れるようになり、社会の中の「こうあるべき姿」があまり気にならなくなりました。「それって普通はやらないよね」と言われても、「私はやりたいからやればいいや」「前例になればいいや」と考える方向にシフトできるマインドになったのは、大学時代に起きた大きな変化です。

そして皮肉なことに、「私は私のやりたいようにやる!」と振る舞うようになった途端にモテるようになりました。天変地異が起きたのか!? と言いたくなるくらいの衝撃を受けました。

私がいた環境やメディアでよく見ていた「モテる女性像」は、かわいくて優しくて、男性の言うことにはYESと言い、常に彼を励まして支えになる、彼よりもできることがあっても伝えない......そんな女性像でした。

一方で、モテ期到来中の私の様子といったら、人には無茶振りばかりで、髪を振り乱して馬車馬のごとく動き回り、「助けて! 今すっごくやりたいことがあるの!」となりふり構わず叫んでる状態。男性を支えるどころか、むしろ支えて欲しいわ! という感じでした。今まで悩んでいたことは一体なんだったんだろう......と思うのと同時に、この頃から自分の発言に自信を持てるようになりました。

その後、社会人になってから昭和女子大学キャリアカレッジに参加し、学長である坂東眞理子先生と熊平美香教授の講義で初めてちゃんと「ジェンダー学」を学びました。

そこで幼い頃から抱えていた、世の中で扱われている性別役割分業に沿った女性像に対して持っていた違和感をやっと言語化することができたのです。この、もやもやを言語化するのは重要な作業でした。「自分が今まで悩んでいたことは、社会のこういう仕組みや文化に影響を受けていたのか!」と状況認識できたおかげで、「自分を責める必要はない」と思えてとても気持ちが楽になったのを覚えています。

このふたつの理由から、ジェンダー学をより自分が生きやすくなるための智恵として学びたいと思うようになり、選択しました。

なでしこVoiceのイベントでの写真。毎回海外に興味があるたくさんの女性が集まる。

◎大学院でジェンダーを学ぶ理由

大学院に入りたいと思った理由は、自分の専門性を持ちたいと思ったからです。これまで7年間、行動力と熱意で取材活動に邁進しましたが、ある時から「取材に学問的な視点を加えることで、調査研究のような形でもっと社会に還元できるのではないか」と考えるようになりました(内閣府の委員として、調査報告書の作成やイベントに関わったことも大きなきっかけに)。

より信頼性のある活動や発言ができるようになるためにも、学問的なバックグラウンドを得たいと思ったのです。感情や経験も大事ですが、多くの人を説得させるためにはデータや数字で根拠を示すことも必要とされます。私が苦手な部分ですが、大学院では手法として学んでいくつもりです。

26歳くらいから大学院進学を本気で考え始め、「アジアで働きたい!大学院にも行きたい!!」と色々動いてきましたが、順番としては2年間のアジア暮らしを経て、大学院進学という流れに。自分としては、色々なものを納得するまで取り組んできて今があるので、今の流れに納得しています。

◎大学院での研究内容について

そんな私が大学院で研究したいことは、「女性の自己肯定感について」です。

このテーマは、7年間、海外で働く日本人女性を取材し、「なでしこVoice」の活動で20代、30代の女性と関わる中で生まれました。彼女たちからよく聞くのは、「言いたいことを言えない」「相手に遠慮して譲ってしまう」「自己評価が低くて落ち込みやすい」といった声でした。

結果を出している優秀な女性ですら「私なんて」と必要以上に自分の能力に対して消極的になりがちでした。思い返すと私自身も、嫌われること、怖がられること、意見の違う相手と衝突すること、相手を言い負かすことから生じる気まずさや雰囲気を恐れ、言いたいことを飲み込む場面がありました。

こうなってしまう要因には様々なものがあると思いますが、ひとつは子どもの頃から叩き込まれてきたジェンダー規範があると考えています。どのような切り口から研究を深めていくかは今後決めていきますが、現場の経験を研究に昇華させていきたいなと思います。

現段階で私が特に影響を受けているのは、女性の思考・行動の消極性を「自信」という切り口で論じたKatty Kay、Claire Shipmanの共著『The Confidence Code』(HarperBusiness)です。

女性は男性と比べて自己評価が低い傾向にあることをインタビューや統計、実験結果から明らかにしているこの本の手法に感銘を受け、「いつか私もこんな本を書いてみたいな」と妄想しています。

また、海外で暮らしたことによって、日本社会の「こうあるべき」という考え方に対して一歩引いた目線で見ることができるようになり、自信を持てるようになりました。世界の女性たちと日本人女性の自己評価の違いにも関心があります。

2016年末に行ったフィンランドの大学図書館。可能であれば留学にも挑戦したい。

◎大学院卒業後にしたいこと

卒業後は大学院で学んだことを活かして、実践者として社会で活動したいと考えています。今想像できる規模以上のことをしてみたいので、ザックリなことしか想像していませんが、本の出版やWeb記事での発信、女性のエンパワーメント活動を国や地域と連携しながら行えたら嬉しいです。また、今の会社の中にいるからこそできるような取り組みもしていきたいです。夢は色々膨らみます!!

「色んな世界を見てみたい!」これが私の原動力であり、好奇心の源です。前例や慣習にとらわれず、どんどん自分の想いを形にしていく行動と選択をとっていきたいと思います。

ジェンダーを学ぶと言うと色んな意見をいただくので、今回掲載にあたって恐る恐る書いていたら比較的真面目な文章になりました。でも、それはジェンダーに対する正しい理解のためにできることがたくさんあるということだと思います。 大学院での勉強がこれから楽しみです!

.........

"男女格差"は過去のもの? でも、世界のジェンダーギャップ指数で、日本は144カ国中114位です。

3月8日は国際女性デー。女性が生きやすい社会は、男性も生きやすいはず。社会の仕組みも生き方も、そういう視点でアップデートしていきたい。#女性のホンネ2018 でみなさんの考えやアイデアを聞かせてください。ハフポストも一緒に考えます。