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2017年12月31日 12時20分 JST | 更新 2017年12月31日 12時20分 JST

育児とキャリアを「両立」しながら「成長を実感」するって、可能ですか?

ワーキングマザー先駆者たちは「キャリアアップと成長」にどう取り組んだのか。

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が2016年に発表した「出生動向基本調査」によると、第1子を出産した後も仕事を継続している女性の割合が53.1%になり、5年前の前回調査より大幅に増えています。また、「現在無職だが15歳未満の子供がいて就業意欲のある女性」は8割を超えたそう。

前回調査よりも大きくポイントが伸びた要因として、育児休業が取りやすくなったことが挙げられています。

ママたちが育児休業を経て職場に復帰しやすくなった。これは素晴らしい変化だと思います。しかし一方で、復帰してから数年で息切れし、離職してしまう人も少なくありません。また、仕事の継続はしているけれど、経験値とスキルが上がらず、戦力としてカウントされなくなってしまう - そのような話も耳にします。

つまり私たちは、育児とキャリアを「両立させること」の先にある、キャリアを「継続する」こと、そして、キャリアの継続の中で「どう成長していくか」を考えるタイミングに来ているのではないでしょうか。

(男性も父、夫としての悩みを多く抱えていますが、日本の女性は未だに家事労働の多くを引き受け、伝統的な価値観の中でキャリアとの兼ね合いで苦悶しているという点で、今回は女性にフォーカスをします。)

「復帰してからは、想定外の大変さと苦闘して心が折れそう」

そのような育児世代の女性たちのキャリアアップを支援するため、私は自分と同じようなワーキングマザーと共に、今年10月末 「育キャリカレッジ」を立ち上げました。それから間もない11月、「先駆者から学ぶ・育児とキャリアを両立するには?」と題したトークイベントを開催。育児世代の働く男女約60名が集まりました。

そこでは、ゲストのトークと共に、参加者同士が今の悩みを共有する時間を設けました。女性たちの話の中から、印象的だった悩みを幾つか紹介します。

復帰してから、作業的なタスクしか割り振られなくなり、仕事にやりがいを見いだせなくなった。
忙しすぎて、育児も中途半端。かといって仕事も時短でしか働けず、中途半端感が拭えない。何のために働いているのか、頭ではわかっていても、このままでいいのかと途方にくれる。
育児とキャリアの両立は、イメージ以上に大変なことが多く、苦悶する日々。夫は育児に協力的ではあるけれど、自分のキャリアのゴールが見えなくなってきた。

これらのコメントから、育児をしながら、「育児との両立の忙しすぎる日々に目標を見失い、何のために働いているのだろう」と悩む女性たちの姿が垣間見えます。もちろん、お金のだめだけ、という割り切りも必要なのかもしれませんが、私たちは仕事の中に、成長している、という実感がないと、続けていくことすら難しいのです。

ワーキングマザー先駆者たちは「キャリアアップと成長」にどう取り組んだ?

当イベントには、轟麻衣子氏(株式会社ポピンズ取締役)清家あい氏(港区議会議員)、渡部雪絵氏(アユワ株式会社代表取締役)の、3人の先輩ワーキングマザーが登壇し、それぞれの苦労や乗り越え方、キャリアビジョンの設定方法について具体的な話をしていただきました。

(写真・向かって左から轟氏、清家氏、渡部氏) その中から、悩める働く育児世代への示唆となるようなメッセージをご紹介します。

【子供や家族への罪悪感のぬぐい方】

  • 子供と過ごす時間は質が大事である。短い時間であっても、子供といるときだけは携帯をオフにして、「あなたが特別」という特別時間の貯金をためていく。
  • パートナーがいくら協力的であっても、寂しい思いをさせていることがある。パートナーとの関係性は常にケアして感謝を伝え合う。
  • 悩んだ時は専門家の知恵を借りたり外注サービスを利用する。自分一人で抱え込みすぎない。
  • 日本人女性は神話に縛られすぎている。母乳神話、三歳児神話、...などなど。特に、三歳児神話はエビデンスが存在した上で否定されている。それにもかかわらず、囚われている人が多い。そのような神話を、エビデンスをもってきちんと論理的にみられる視点を養うこと。

【キャリアを継続し、成長を実感していくために】
  • 活躍しているワーキングマザーをみていると、頼ることが上手な人が多い。そうかといって「当然の権利」として当たり前のように周りに頼んでいるわけではなく、逆に、自分ができることは進んで引き受けるなど、積極的に良いチームを作る。
  • 復帰した後は、「何が出来ないか」「何ならできるか」を上司やチームにきちんと伝えること。周囲も「何かしてあげたいけど、何ができて、何ができないかがわからない」状況だと、コミュニケーションの行き違いが発生する。
  • 長い人生を俯瞰して眺め、「今は何を学ぶ時期か」を明確にしておくこと。今は育児が中心、今は仕事に没頭する時期、など、現在の位置を明確にしておくことで、得るものも変わってくる。
  • 自分なりの「仕事の大義」を言語化してみる。迷った時はそこに立ち返る。

ワーママの「キャリアにおける成長実感」に必要な3つのポイント

ワーキングマザーに限らず、私たちがキャリアにおいて「成長する」ためには何が必要なのでしょうか。

一説によると、次の3つがあると、人は仕事をする中で成長していくといいます。

  1. 業務支援: 簡単すぎず難しすぎない、ちょっとだけ背伸びすればできる難易度の業務を行うこと
  2. 内省支援: 振り返りを促すこと
  3. 精神支援: 励ましたり褒めたりメンタルケアし合う関係性
「フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」中原淳著

子育てをしながらキャリアを継続していく中で、業務支援については、どのような業務を今後経験していくべきなのか、それを実現するには誰にどのように働きかければいいのかを一度棚卸ししてみると良いかもしれません。すぐに実現するかどうかは職場の状況にもよりますが、考えてみる価値はあります。

また、内省支援や精神支援は、職場内に限らず、同じような悩みを抱えるワーキングマザー、あるいはワーキングファザーたちと積極的に繋がっていくことで、得られるのではないでしょうか。

育キャリカレッジのイベントでは、ゲストだけではなく、同じような境遇のワーキングマザー・ファザーと交流していた人たちが、このような感想を言っていました。

こんなに前向きに、色々考えている芯の強い女性たちが沢山いるとは思わなかったので、このような場に出向くことは自分自身への活力になった。
それぞれの境遇があって、それぞれの考え方や感じ方があって、正解はない。幅広い考え方や生き方に触れることは、自分について知ることにもなる。様々な人の集まる場に行くことは大切だなと思いました。
自分自身について考えることを周りの人に話をする事によって、今日解決出来るものもあった。同じ立場の人と話すことは大事なことだと思いました。

写真出典:PIXTA