ビジネスのメジャーリーガーを目指せ

ビジネスの世界はスポーツの世界よりも、もっと長く現役でいられます。多くのビジネス・プロフェッショナルにとって、今からでも全く遅いことはありません。
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メジャーリーグでの日本人選手の活躍はもはや目新しいニュースではありませんが、USオープンで準優勝したテニスの錦織圭選手、ACミランで10番を背負って活躍するサッカーの本田圭佑選手など、2014年はメジャースポーツの世界で日本人プレイヤーが新たなステージに到達した年、というように振り返ることができるかもしれません。

このようなメジャースポーツの世界での日本人選手の活躍は、多くの人にとって1990年代にスタートしたと感じられると思います。それまではメジャーリーグの試合が日本で放送されたりニュースになったりすることも少なく、あくまでも日本においてはプロ野球が野球選手における最高のフィールドで、そこで活躍することが野球を目指す子供たちにとってもゴールでした。

しかしながら、日本のスター選手だった野茂英雄選手がわずか980万円の年棒でドジャースとマイナー契約をしてから、一つの扉が開かれました。野茂選手のチャレンジと活躍は日本のファンに広く支持され、テレビでメジャーリーグが放送される機会も増え、一気にメジャーリーグが日本人にとっても身近なものになり、イチロー選手などに続いています。サッカーも同様に、カズこと三浦知良選手のチャレンジが、世界のトップリーグに挑戦する流れを生み出し、セリエAでの中田英寿選手の活躍につながり、結果として日本のサッカー全体のレベルアップにつながりました。

一方、ビジネスの世界はどうでしょうか?

残念ながら、時価総額や世界経済に対する影響度、あるいはWorld's Most Admired Company(世界で最も賞賛される企業)といったランキングの常連であるグローバル企業、言い換えればビジネスの世界のメジャーリーグは、日本においてまだほとんど認知されていないように思われます。各業種におけるグローバルのトップ企業がどのような会社で、どのようなビジョンを持ち、どういった活動を展開しているのか、グローバリゼーションやテクノロジーの進展にどのように対応し戦略を転換しているのか、日本ではどういった活動をしているのかなど、その業界に関わっている人だけでなく、株や預金を通じてビジネス社会と関わっている人などを含め、日本人全員が知っていた方が良いと思われるビジネスのメジャーリーグの世界は、十分に知られているとは言い難いのです。

また、日本の将来を担う学生の間でも、将来のキャリアとして、『グローバルのトップ企業の(本社の)役員になる!!』といった、『メジャーリーグで活躍する!!』に匹敵するほどのビッグな夢を持っている人は、あまり多くないようです。これは、ビジネスの世界から未だに野茂選手のような存在が現れていないから、もしくは、現れていても日本社会で表に出てきていないから、そして結果としてメジャーリーグが広く日本社会に紹介されていないから......といったように、『プロ野球時代』とのアナロジーとして解釈できるのではないでしょうか?

もちろん、ビジネスの世界、とくにグローバル企業の中で日本人が成功することは容易なことではありません。多国籍のチームでは、自身のユニークなアイデンティティを認識しながら、さまざまなバックグラウンドを持つ相手の考え方・感じ方を理解し、共感を得て、チームを動かしていかなければなりません。特に日本人がグローバル社会・グローバル企業の中で圧倒的にマイノリティであることを考えると、多数派に属している人よりもより一層、コミュニケーションを高めなければいけません。コミュニケーションの内容・質もそうですし、頻度を高めたり、距離を近づけたりする方法を駆使しながら、共感を得ていく必要があります。

また、ビジュアルで一瞬に理解できるスポーツと違い、ビジネスでは同じ会社の中でも誰が何をやっているのか一見しただけではわからないので、相当なエネルギーをかけてコミュニケーションを行っていかなければなりません。本社のエグゼクティブにまで到達するには、さまざまなポリティクスも乗り越えていかなければならないでしょう。一朝一夕にいくようなものではありません。

しかしながら、これこそが、グローバル社会と調和し、一層輝く新しい日本を創っていくために必要なことではないでしょうか?

グローバルのトップ企業の中で日本人が存在感を高め、日本の強みを理解してもらい、それをグローバル規模のオペレーションに取り込んで世界に展開していくことを、実現していかなければなりません。さらに進んでグローバルのトップ企業のCEO、COOとして活躍するような『日本人メジャーリーガー』が登場しても良いはずです。

一つ良い点をあげるとすると、ビジネスの世界はスポーツの世界よりも、もっと長く現役でいられます。多くのビジネス・プロフェッショナルにとって、今からでも全く遅いことはありません。多くの日本人がビジネスのメジャーリーグを目指し、また、その経験を活かして新しい日本を創っていく時代が近い将来きっと来ると信じています。

GAISHIKEI LEADERSは、外資系企業での仕事等を通じて日々グローバル社会とかかわってきたメンバーが、自らの『和魂洋才』を一層磨き上げ、社内外で活用し、グローバル社会と調和した、開かれた元気な日本の未来を実現することを目指し、設立されたコミュニティ・プロジェクトです。『和魂洋才』の梁山泊となり、日本社会・日本企業の多様性の欠如や視野狭窄、長期停滞等の課題に対して、新たな視点での解決策を提案し、政治・経済・教育の各分野から日本社会に変革を起こしていくことをゴールとして活動を展開しています。

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