民泊予約サイトのAirbnbがTrip4realを買収

民泊予約との相性がよい周辺分野への事業展開を加速させる狙いがあると考えられます。

M&A Online編集長の田口です。今回は民泊予約サイトのAirbnb(エアビーアンドビー)がTrip4realを買収した記事をピックアップしました。TransCap代表で米シリコンバレー在住のコンサルタント坂崎昌平氏がレポートします。(田口 雅典)

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Trip4Realは、ヨーロッパやトルコの旅先で地元の人が案内してくれる現地ツアーやアクティビティをオンラインで予約できるサイトです。例えばTrip4Realの本拠地があるスペインのバルセロナでは、旧市街にある建物や市場の案内、隠れ家的なタパス店での食事、地元住民宅でのパエリア料理教室などが人気のようです。

テッククランチ(TechCrunch)によれば、2012年の設立から$3Mの資金を調達しており、サイトのユーザ数は4万人くらい、今回の買収価格は$5Mから$10Mの間だったそうです。

エアビーアンドビー(Airbnb)は、民泊予約サイトとして圧倒的な知名度を誇り、未公開企業ながら$4B近い資金を調達、これまでにも多数のスタートアップを買収しています。買収先の事業には興味がなく人材獲得目的のM&Aが多いですが、買収先のサービスを自社のサイトに統合しているケースもいくつかあります。

これまでの大きな流れとして、まず海外展開の足掛かりとなった欧州の同業者の買収、そして旅先の観光案内情報を充実させる買収がありました。今回のTrip4Realの買収は、エアビーアンドビーが試験的にサービスを開始しているCity Hostsという地元ガイド予約サービスとも重なっていて、民泊予約との相性がよい周辺分野への事業展開を加速させる狙いがあると考えられます。

現地ツアー/アクティビティー予約サイトとしては、Viator(2014年7月にトリップアドバイザー(TripAdvisor)が$200Mで買収)やGetYourGuide(2015年11月に$50Mを調達)がよく知られています。オンライン旅行代理店の分野では最後のフロンティアともいわれ、ここ数年ベンチャー企業の参入が相次いでいました。今年に入ってからもPeek、TourRadar、Evaneosなどが資金を調達しています。

空前のインバウンドブームに沸く日本市場でも、老舗のベルトラ、ボヤジン(2015年7月に楽天が買収)、トラビー、PeerTours(運営会社はライジングアジア)などがサービスを展開していて、そこにViatorやGetYourGuideなどの海外勢が参入してきています。

ChangeCoin(ブロックチェーン技術;人材獲得目的)

Lapka(環境センサ;人材獲得目的)

Vamo(行先が色々ある旅行の手配サイト;人材獲得目的)

Pencil Labs(スケージュール調整アプリ;人材獲得目的)

Localmind(旅先Q&Aサイト;エアビーアンドビーのサイトに統合)

Fondu(地元店口コミ・アプリ;人材獲得目的)

DailyBooth(自撮り画像共有アプリ;人材獲得目的)

NabeWise(旅先案内情報サイト;エアビーアンドビーのサイトに統合)

Crashpadder(イギリス民泊予約サイト;エアビーアンドビーのサイトに統合)

Accoleo(ドイツ民泊予約サイト;エアビーアンドビーのサイトに統合)

M&A Onlineより転載

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