BLOG
2015年11月30日 00時25分 JST | 更新 2016年11月29日 19時12分 JST

"Social Fashion" 幸せをつむぐ女性たち

"Social Fashion(ソーシャル・ファッション)"という言葉を聞いたことがあるだろうか。

"Social Fashion" は、「ファッション」から私たちが連想する流行や最先端のトレンドを意味するものではない。

利益拡大を目的とした営利活動ではなく、かといって、慈善活動でもない。

"Social Fashion"は、フェアなビジネスの関係を結ぶことをコンセプトの一つに掲げている。

過酷な労働環境から生み出される「ファッション」でなく、一人一人が笑顔で創り、届けられた相手も幸せを感じられるためのビジネス・モデルだ。

「ファッションを通じた社交活動」ではなく、むしろ「社会を考えるファッション」。

自分を表現するものであり、アイデンティティである「ファッション」を中心に、一人一人が喜びをもって創り出す「ファッション」を通して、世界に喜びを伝える。

NPO法人 "Gnadaa Japan(ナダァ・ジャパン)"は、スリランカの元内戦地域の女性たちが社会で「働く」ことを実現するために立ち上がったソーシャル・ファッション・プロジェクトだ。

女性たちに一番馴染みのある裁縫技術を「仕事」として、仕事の場を作り、世界で通用する作品を生み出していくことをモットーとしている。

代表のスベンドリニ・カクチさん(以後、ドリニーさん)は、スリランカ出身のジャーナリスト。

その半生以上を日本で過ごしてきた彼女は、「日本とアジアをつなぐ」メッセージを込めて、取材活動を続けてきた。

一方で彼女は、1983年から2009年まで続いたスリランカの内戦がまだ終結する以前に、女性たちの自立実現を目指して "Gnadaa" を立ち上げた。

"Gnadaa" はタミル語で「歩く」を意味する。

お金を与える援助でなく「持続可能な」仕事の場をつくり、経済的に自立するための支援をすること、それがGnadaa Japanの活動だ。

内戦で荒れ果てた土地の中でも、鮮やかな色のサリーを身にまとい、埃だらけになりながらも必死に生きる人々の姿への感銘と尊敬が、ソーシャル・ファッション・プロジェクトにつながる。

2015-11-29-1448813199-278406-IMG_7504.JPG

「ファッションはアイデンティティ」と語るドリニーさんが出会ったのが、アーティストの天野美帆さん。

二人はこの夏スリランカへ飛び、Gnadaaの裁縫工房で働く6人の女性たちと創作活動を行った。

スリランカのGnadaa工房の女性たちの "sewing(裁縫)" と、美帆さんの"art(芸術)"が一つになり、たくさんの美しい作品が生まれた。

11月16日から21日にかけ、関内にあるFrame&Gallery SHIMIZUで行われたエキシビションでは、天井に工房の女性たちの作品が飾られた。

美帆さんの絵の自由な表現に、工房の女性たちがインスピレーションを受けて縫われた美しい作品たち。

それぞれの作品に、それぞれの女性たちの想いが、内戦の苦しみを経て今の幸せと将来への希望を込めたメッセージが、込められている。

2015-11-29-1448813293-2776057-image13.JPG

"MORNING" ―「夜明け」を意味するこのタイトルがつけられた絵は、美帆さんが帰国後すぐに描いた作品だ。

"Be Happy" をモットーに仕事に向かう裁縫工房の女性たちの一生懸命な生き方が、言葉を通じずとも美帆さんには見えたという。

確実に夜明けに向かって歩む彼女たちをイメージして描かれたこの絵は、希望と幸せの輝きに満ちている。

同時に、美帆さんの優しさやドリニーさんの弛まぬ努力を想わせるこの絵には、アートの力を感じずにはいられなかった。

2015-11-29-1448813367-8014391-image21.JPG

世界中で痛ましいことが起こっている中、遠く離れた日本の変わらぬ日常生活の中で、何をしたらいいのか、何が正しいのか見えなくなることはないだろうか。

ドリニーさんや美帆さんの活動を通して、一人一人が自分の持っているもの、感じるものを通じて、よりよい世界を目指していく生き方を見ることができた。

「世界は一つということを伝えたいんです」

ドリニーさんの言葉を、常に心に抱いて毎日を生きたいと思う。