グーグル社が人材採用で学歴・成績を無視する、科学的な根拠とは

Google、インテル、SAPを始め、各社がマインドフルネスとEI(エモーショナルインテリジェンス)のトレーニングを開始し、大きな人気を博している。

最近話題になったGoogleの採用基準は「学歴・成績不問」に加え、次の5つである。(Google上席副社長ラズロ・ボックに対するニューヨークタイムスのインタビューより)

1.学ぶ力/2.リーダーシップ/3.謙虚さ/4.自発性/5.専門知識

それと関連して、Google、インテル、SAPを始め、各社がマインドフルネスとEI(エモーショナルインテリジェンス)のトレーニングを開始し、大きな人気を博している。そのひとつがSIY(Search Inside Yourself )と呼ばれる、各社や各誌で高い評価を得ているEIとマインドフルネスのプログラム。なんと、受講するのに数百人ものウェイティングリストがあるほどの人気だ。

EIとは、自分や他人の感情を認知、理解、管理する能力の総称である。そしてマインドフルネスとは、「今・ここで自分の内面と外で起こっていることに、しっかり意識を向けること」である。

そんな話をすると、それが大切なことは何となくわかるけれど、感情だとか心の在り様といった問題は根拠が曖昧だし・・・と、尻込みし、なかには警戒心を持つ人もいる。ところが実際には、感情にかかわる要素が、どのようにビジネスに影響しているかについてのデータは、山のようにあるのだ。

今回は、EIのビジネス効果についてのデータに絞って御紹介しよう。

(以下http://emotionalintelligenceuniversity.com/the-benefits/emotional-intelligence-business-benefits/よりグファフィックスは承認を得て抜粋)

ルトガー大学 Graduate School of Applied and Professional Psychology による

エゴンゼンダー(大手グローバル人材会社)によるドイツ・日本・アメリカの515人のエグゼキュティブEI対IQ(知能指数)の比較

「成功」の評価を受けたエグゼキュティブのうち74%が高いEIスコア(グラフ緑)を示し、高いIQに加えその職務の経験があるエグゼキュティブ(グラフ青)は26%のみだった。

EIのトレーニングを受けた製造業の工場管理者は1年間で事故によるタイムロス(グラフ青)が50%減、従業員からの不満は80%も減り(グラフ緑)、生産性は17%向上(グラフ黄)、そして生産性ゴールに対し、25万ドル分も超えて生産した。

ロレアルの営業職でEIスコアの低いセールス(左グラフ青)の離職率は61%(右グラフ赤)、EIの高いセールス(左グラフ緑)の離職率は39%(右グラフ緑)と、EIの高さと定着率に相関があることが分かった。

国際的なコンサルティング会社でパートナーに対しEI測定を行ったら、EIの上位50%と下位50%では、利益貢献率に大きな差があった。EIの高いパートナーは、一人当たり$1.2ミリオン(約1億2000万円)も高い利益を上げ、全体の71%もの利益を上げた(グラフ緑)のに対し、EIの低いグループの利益貢献率は29%に過ぎなかった(グラフ赤)。

大手清涼飲料会社で管理職をEIで比較すると、2年間の業績による離職率ではEIの低いグループは50%(左グラフ青)、EIの高いグループでは6%(左グラフ緑)、ゴールに対する達成度はEIの低い管理職は-19%(中央グラフ青)、高EIの管理職は+18%だった(中央グラフ緑)。また、トップ3分の1と評価された管理職のうち87%が高いEIであった(右グラフ緑)。

アメリカンエキスプレスで、管理職向けEIトレーニングを行ったところ、彼らのチームでは+18.1%のビジネスの伸びがあった。

このように、利益やセールスの向上、離職率の低下、チームワークの向上、工場での事故や不満の低下と生産性の向上、これらすべての項目と高いEIの相関関係が、データで証明されている。

EIの権威であり、SIY(Search Inside Yourself)のアドバイザーでもあるハーバード大学のダニエル・ゴールマン心理学博士は、EIは訓練で向上させられると明言している。そして、マインドフルネスのトレーニングがその最も有効な方法であると述べている。

次回は、宗教的な衣を脱ぎ捨て、科学というスーツを着たマインドフルネスとは何か、それがビジネスにもたらす変化に関するデータをご紹介しよう。

Google's Tel Aviv Office

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