2016年も早いもので12分の1が終了、早くも2月に突入ですね。久しぶりの更新となりました、and 代表 大塚美幸です。今年はいろいろなジャンルの方々と対談をしていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。
さて読んでくださっている方の中で、年初めに2016年の目標を掲げた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
フルマラソンを走る!痩せる!憧れの場所へ旅する等、その目標へ向けて前進していますか?1ケ月経って、どれくらの達成度でしょう?達成度と言われても、なかなかハッキリと表現するのは難しいですよね。私は個人的に、自分の目標、健康、満足度も会社の業績のように結果が数字で見えたら分かりやすいのに、と思っていたら...ありました!
これまで数値化するのが難しいと考えられていたことをお金に換算して評価出来る、分かりやすい指標がありました。国連では昨年その指標が提案され、日本では人気の国会議員などが注目されているそうです。その開発に携わられ2017年国連の報告書のディレクター(代表)に就任され世界的にご活躍されている九州大学大学院 馬奈木俊介教授にお話を伺いました。
ご自身で見たい目標達成度は何ですか。考えてみてください。
大塚(下記:大):世界中を飛び回りご活躍ですね。今日は貴重なお時間をありがとうございます。よろしくお願いします。
馬奈木先生(下記:馬):こちらこそ、よろしくお願いします。
【新国富でこれまで測れなかったものを数値化する】
大:さっそくですが、国連で採用が決まり他のメディアでも紹介されていました新しい指標「新国富」どのようなものなのでしょうか?
馬:これまで説明するのは難しいけれど価値があると思っていることってありますか?たとえば、夕日がきれいな旅館に泊まること、楽しい公園の近くに住むこと、健康をかんがえてウォーキングしやすいところを選んで住むこととか。こういう、値札が貼ってあって幾らとわかるものではないけど、考えたら価値があるものは身近な生活の中で多くあります。
新しい指標は、それらを評価して、住みやすいところ(子供の教育に適したところ)、豊か(富んでいる)なところ、をきちんと評価しようというものです。多くはその良さが明示的には分かり難い価値を計算して見えるようにしようという指標です。
大:今まで分かりにくかったことを数値で表せれば判断基準になりますね。馬奈木先生が例で挙げていただいた子供の教育に適した住みやすいところも、口コミや家・マンションの価格にプラスして安心できる判断材料となりますね。
馬:今後の、地域のありかたを考えるうえで、どうみんなが豊かになるか、そのためには何をしたらよいかと考えるためには、その物差しを、見えるようにするべきだとおもいました。
もし測るものが違えば、目的もきちんと達成されたかわからないです。これらを測って、今後の地域でなにをつくっていけばいいか、どうしていけばいいかを考えるGDPを補完するシステムにしていこうというものです。
大:確かに、評価する為のいろいろな判断基準がありますが単位や測るものが違うと結果は違って見えますね。
馬:そうです。ですから「新国富(指標)」では評価する価値を金銭で統一しています。それは、お金が生活に身近で分かりやすい単位だからです。
大:なるほど!それは分かりやすそうです。新しい指標なので腹落ちするよう教えていただきたいのですが... 例としてあげて頂いたもの以外、どのようなモノに使えるのでしょうか?
馬:大抵のものには使えます。では健康を例に考えてみましょう。健康の効果は3つ、幸せ、生産性、長生きです。よいパートナーや友人と繋がることが一つ目の幸せ、仕事の効率が上がるのが二つ目の生産性、医療費削減は三つ目の長生きの効用に入ります。これをまとめて健康資本と呼び、健康と教育まとめて人的資本としています。
昨年の報告書からですが、アメリカの場合少なくとも健康資本は、年間一人当たり百万円増えていっています。今回は、世界に発表する報告書のディレクター(代表)を私が担当しますので他国の結果や病気ごとの金銭効果は次回の報告書に入れるためにメンバーと共に計算中です。
大:そうゆうとらえ方もできるのですね。国、地域、団体、個人など全てに対応できる指標なのでしょうか?
馬:そうです。もっと具体的な例でいうと、ウォーキングや腹筋の効果から個人の健康価値を測ること、細かく言えばウォーキングする1歩、腹筋1回にどれくらいの価値があるか測ることが出来ます。
または全然違う例になりますが、赤字のバスや電車があり廃止する線を考えるとします。住民の人にとって交通手段としてだけでなく、それ以外にどのような意味があるか測ることが出来ます。バス停で待っているとき、バスに乗っているときに話すことが喜びとなっている、それの価値はいくらになるか等も計算できます。
大:たいていのものは何でも指標として表すことが出来ると言うのがだんだんと分かってきました。特に、こうゆうところには指標を使うのが最適!と思われるところがあれば教えてください。
馬:特に、指標を使うのが最適なのは、地域や健康にかかわっている方々です。例えば、衰退していく地域をどうすれば良いかアンケートを取り計算し数値化すると優先順位もつけやすくなります。また健康も同様です。地域医療、病院、もちろん個人でも指標を物差しにすることができます。
大:ありがとうございます。
【伝え方のポイントは分かりやすい言葉と相手に合わせた具体例】
大:新国富に限らず新しいことを説明してわかってもらう、更に導入してもらうのは毎回大変ですよね。相手に伝わったか確認しながら話す、しかも先生の場合は国会議員や各国の要人、研究者と相手も多岐に渡ります。どのようなことを心がけて伝えられるのでしょうか?
馬:難しい言葉や専門用語、カタカナ英語などを使わないようにしています。また相手にあわせた分かりやすい具体例を用いてイメージしやすいように心がけています。
大:大事ですよね。具体例でイメージして映像を思い描いてもらうこと、弊社の研修でも推奨しています。
ところで1つ確認ですが読んで下さった方の中で、新国富(指標)に興味を持ってくださった方がいた場合、難しそうですがさらに踏み込んで計算方法などを教えていただけるのでしょうか?
馬:もちろん興味を持って下った方にはご説明してお伝えします。その他、資料はサイトでも公開していますのでご覧頂ければ幸いです。
大:ありがとうございます。では新国富(指標)でどのような目標をお持ちですか?
馬:自然と人工物など、すべて経済評価で一元化するのが私の目的です。例えば、国連目標3は「健康な生活」です。健康を始め他のことも含めて多様な国連の今後の15年間の目標を新国富で総合評価をできるようにしたいと考えています。
大:これから新しい指標「新国富」について教えて頂き、ありがとうございました。
馬:こちらこそ、ありがとうございました。
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