本当につらかったら、会社を辞めてしまおう

一人で抱え込んでしまう、真面目なあなたへ

これから、私が会社を辞めた話をしようと思います。

――「精いっぱい頑張っているつもりだけど...、もっと頑張りたいけど...、もう限界...」

「でも、会社を辞めたらいろんなものを失うのでは...」。

そうやって自分を追い込んでしまう。そんな真面目なあなたに向けて書きます。

私は、2016年4月に新卒で会社員になり、2018年5月までの約2年間、勤めました。転職活動をすることなく退職したため、いまは俗にいうニートです。

▲仕事をしていた頃の私(写真右)。やりがいもありとても楽しかったです。
▲仕事をしていた頃の私(写真右)。やりがいもありとても楽しかったです。

どうしても会社に行けなくなった

2017年11月から、月に2~4日間ぐらい会社を休むようになりました。

やりがいがあって、社員仲が良くて、残業もなくて、恵まれた環境でした。

それでも、「どうしても会社に行きたくない」「もうなにもしたくない」「私なんて生きている意味がない」。そんなふうに考えることが増えました。

悲しくないのに、ふとした瞬間、涙が出るようになりました。家を出たのに、気が付いたら自宅にUターンしている日もありました。

そんな状態が続き、2018年4月。あまりにも月経痛がひどく、はじめて婦人科を受診しました。

「会社に行けないぐらいおなかが痛くて、冷や汗が止まりません。ちょっと吐き気もあります」。

私が告げると、「ちょっと様子を見てみましょう」とエコーで卵巣を見ることになりました。すると、右側の卵巣にビー玉のような丸い影が見えました。

「この影は卵胞。本来はこの卵胞が大きくなって破裂して、卵細胞が排卵されるんです。ところが、いまあなたの卵巣には10個以上の影が一列に並んでるよね。これ、ネックレスサインって呼ぶんだけど、多嚢胞性卵巣症候群(たのほうせいらんそうしょうこうぐん)というやつです。若い女性にたまにあって、正常な排卵がおこなわれていなくて妊娠しづらい状態ですね」と教えてもらいました。

その後、ストレスチェックのシートを渡されました。

結果を見たお医者さんは「まだ症状が出て半年みたいだし断定はできないけど、軽度のPMDD(月経前不快気分障害)かもしれない」と言いました。

▲お医者さんが紙に書いて渡してくれました。
▲お医者さんが紙に書いて渡してくれました。

PMDDとは、2013年にアメリカの精神医学会で発表された、抑うつ症候群の一種です。

月経前の数日間のみ精神的に不安定になり、月経開始後3日ぐらいで何もなかったように元気になるのが特徴です。

私の絶望感、不安感には、きちんと名前があったのです。それを知っただけでも心が軽くなりました。

夢のために、会社を辞めよう

私の夢は、「楽しく仕事をして社会とのつながりを持ち、大好きな人と幸せな家庭を築くこと」です。

しかし、排卵が正常に行われていない状態では、子どもを産み育てるという夢が絶たれてしまうかもしれません。

毎月うつ状態に陥っていては、ワクワクする仕事をしてやりがいを感じながら社会とつながり続けることが難しくなるかもしれません。

葛藤した末に私は、会社を辞めて休むことを決めました。

「辞める」と言うのは勇気がいる

私の仕事は、担当者が自分一人でした。もし私が辞めてしまったら、今までの積み重ねもパーになってしまう。会社が時間とお金をかけて育ててくれたのに、申し訳ない。いろんな人を裏切ることになる。

―――頭の中を、答えの出ない問いがぐるぐると回りました。

「会社を辞めます」と言い出すのは、私が想像していたよりも勇気のいることでした。辞めないほうがいい理由が、山ほど出てくるのです。

言い出せずにいるうちに、ゴールデンウィーク頃にPMDDの症状が出て、会社を何日も休んでしまうことになりました。

休みの間、一番身近な存在である恋人にたくさん八つ当たりしました。「私なんて生きている意味ないよね、もう死にたい...」。

そう言われて、私の恋人はどんなに悲しい気持ちになったでしょう。

でも、相手の気持ちを慮ることは、その時の私にはできませんでした。一番大切にするべき相手すら、思いやることができなくなっていました。

めそめそと部屋で泣きながら、私は決心しました。

「よし、ほんとに会社を辞めよう」。

会社を辞めても人生終わりなんかじゃない

社長にすべてを打ち明けると、「状態を聞くに、すぐにでも辞めて休んだほうがいい」と言ってくれました。ありがたかったです。同時に、情けなく、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

私が会社を辞めると、家族も恋人も、相談に乗ってくれていた友人も、ほっとした様子でした。

そして、退職を知り、心配して連絡をくれる人もたくさんいました。

私は、会社を辞めたら社会とのつながりを失って、会社員という肩書きも失って、収入も失って、大変なことになってしまうと思っていました。でも、そんなことはありませんでした。

なかでも印象に残った友人の言葉があります。彼も過去に仕事を辞めてニートを経験した人でした。

「辞めるって決めることがどういうことか、どれだけ大変かってわかる部分があるので、いまは辞める決意をしたことに対して、お疲れ様と言いたいです」

会社を辞めることに対して罪悪感でいっぱいだった私には、"辞めるという決断自体"を肯定してくれた彼の言葉は、一番の救いの言葉になりました。

思いつめてしまう真面目なあなたへ

真面目に生きてきた人ほど、会社を辞めてニートになる、つまり「ふつう」のレールから逸れてしまうことに、「私の人生、もう終わりだ」というぐらい、大きな不安を感じてしまうものです。

大げさに聞こえるかもしれませんが、追い込まれていたときの私はそうでした。

でも、大丈夫です。

本当につらいときは、何よりも自分の人生を優先するべきです。

もしいま、会社を辞めたいと悩んでいる人、私と同じようにPMDDなどの精神的な不調に苦しんでいる人がいたら、一番大切なものはなんですか、そしてあなたの夢はなんですかと、問いたいです。

そして、それらを守れる道を、勇気を持って選んでほしいと思います。

きっと大丈夫です。なんとかなります。うまくいきます。

あなたの人生だから、あなたにすべてを選ぶ権利があります。

私のメッセージが、一人で抱え込んでいる誰かの背中を押す助けになったとしたら、うれしいです。

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