北極ツンドラにおける水銀の吸収

気体の水銀元素由来の土壌中水銀濃度は、北極域の河川が毎年大量の水銀を北極海へ輸送していることの説明になるかもしれない。

北極ツンドラの生態系。アラスカ北部にある観測施設Toolik Field Stationにて。背景に見えるのはブルックス山脈。

Credit: Daniel Obrist

人為的な活動は、北極域における大規模な水銀汚染をもたらしているが、北極域の高い水銀負荷の原因が、降水を介した酸化水銀の湿性沈着なのか、あるいは海塩によって生じる水銀の化学循環なのかは、まだよく分かっていない。

今回、水銀沈着の質量収支の研究と北極ツンドラから得られた安定同位体データが提示され、水銀の主な供給源は、実際には気体の水銀元素に由来し、示唆されていた他の2つの供給源の寄与はわずかであることが見いだされた。

気体の水銀元素由来の土壌中水銀濃度は、内陸から沿岸域のトランセクトに沿って一貫して高いことから、北極ツンドラが全球的に重要な水銀シンクである可能性があり、北極域の河川が毎年大量の水銀を北極海へ輸送していることの説明になるかもしれない。

Nature547, 7662

2017年7月13日

doi: 10.1038/nature22997

【関連記事】

バイオマスの過去の増加 Nature544, 7648 2017年4月6日

リン制限の歴史 Nature541, 7637 2017年1月19日

地球温暖化と土壌炭素損失 Nature540, 7631 2016年12月1日

大気中の二酸化炭素と植物の成長 Nature538, 7626 2016年10月27日

全球の化石燃料メタンの排出量の修正 Nature538, 7623 2016年10月6日

注目記事