脳ネットワークのコンピューター化で音声認識

今回の結果は、チップベースの低電力脳型情報処理への新たな方向を開くものである。

神経形態学的コンピューティングでは、生物の脳の並外れた情報処理能力に着想を得て、画像やパターンの感覚信号としての認識といった、通常のコンピューターでは困難もしくはエネルギーを大量に消費してしまう特定の課題に取り組むための、人工のニューロンやシナプス、ネットワークの構築が試みられている。

今回J Grollierたちは、ナノスケールの磁性体振動子を用いてニューロンの非線形振動のふるまいを模倣し、そうしたデバイスのネットワークの音声信号認識能力を調べた。

この系は、標準データベースの5種類の声によって読み上げられた数字の音声を認識するよう訓練を受け、こうした音声を最先端の機械学習に匹敵する正確さで認識できるようになった。

今回の結果は、チップベースの低電力脳型情報処理への新たな方向を開くものである。

Nature547, 7664

2017年7月27日

原著論文:

doi:10.1038/nature23011

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