1998年のエルニーニョに伴って全球平均気温が急上昇した後、気候システムの温暖化が数年間鈍化し、わずかに寒冷化すらしたようである。
「停滞」、「中断」、「減速」とさまざまに呼ばれるこの期間は、エルニーニョと自然変動に対する我々の理解を踏まえると、意外なことではなかったはずである。
しかし、温暖化の鈍化が認識された直後には、モデルと観測の結果が乖離しているように思われ、重要な過程をモデルが見落としているのではないかという問題が提起された。
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その後、地球温暖化は再開したが、この停滞現象は、活発な研究の引き金となった。
今回I Medhaugたちは、文献を統合し、モデルと観測証拠を再評価している。彼らの評価は、モデルとデータの間の見かけの矛盾を解消し、気候システムの根底にある物理に対する我々の理解を修正する必要性を除去している。
この停滞現象は、結局は自然変動の事象の1つだったのである。
Nature545, 7652
2017年5月4日
doi:10.1038/nature22315
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