再分析で明らかになったハルキゲニアの頭部

脱皮動物の最終共通祖先に存在した可能性のある構造については、これまで推測の域を出ていなかったが、今回のハルキゲニア化石の再分析によって、明確な証拠が得られた。

バージェス頁岩で見つかったHallucigenia sparsaの化石。全長は15mm。

Credit: Jean-Bernard Caron

カナダの中期カンブリア紀のバージェス頁岩からは奇妙な化石動物群が見つかっているが、その中でも飛び抜けて奇妙なものの1つにハルキゲニアがある。特に、ハルキゲニアの入手可能な化石から頭部を復元することは困難とされ、そのため他の動物との類縁関係は謎に包まれていた。

今回M SmithとJ Caronは、5億800万年前のハルキゲニアの一種Hallucigenia sparsaの化石を新たに調べ、ついに、その頭部に関するより詳細な情報を得た。

ハルキゲニアの奇妙さは、複数の硬化した板状要素に囲まれた口や、針状の歯が並ぶ咽頭という形態に現れている。ハルキゲニアは、節足動物の放散の根元部分に当たる現生有爪動物(カギムシ類)を含む分類群に属してはいるものの、その頭部や前腸は、線形動物や動吻動物といったより異なる門との進化的つながりを示している。脱皮動物の最終共通祖先に存在した可能性のある構造については、これまで推測の域を出ていなかったが、今回のハルキゲニア化石の再分析によって、明確な証拠が得られた。

Nature 523, 7558

2015年7月2日

原著論文:

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