HIV感染の治癒を阻む障壁となっているのは、細胞リザーバーでウイルスがしつこく存在し続けることであり、その主要なリザーバーは静止期のCD4 T細胞である。M Benkiraneたちは今回、HIV-1に感染した静止期CD4 T細胞の表面で発現上昇しているタンパク質を特定している。
このリザーバーで初めて見つかったマーカーであるこのタンパク質はFcγ受容体CD32aで、通常、リンパ系細胞ではなく自然免疫系のエフェクター細胞で発現する。リザーバー細胞上でのCD32a発現の機能的重要性はまだ分かっていないが、このマーカーが明らかになったことで、静止期CD4 T細胞HIVリザーバーの今後の研究に役立つだろう。
Nature543, 7646
2017年3月23日
原著論文:
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doi:10.1038/nature21710
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