機械ストレスに応答した細胞分裂

上皮細胞層は臓器を覆って障壁として機能するが、そこでは常に細胞分裂と細胞死が繰り返されている。

上皮細胞層は臓器を覆って障壁として機能するが、そこでは常に細胞分裂と細胞死が繰り返されている。

では、このような動的な過程が起こっていても上皮の障壁機能が損なわれないのはどのような仕組みによるのだろうか。

J Rosenblattたちは以前に、上皮細胞が過密になると、伸展活性化チャネルPiezo1が活性化されて細胞が押し出され、それらの細胞は後に死に至ることを報告している。

今回、彼らは過密の反対の状況、つまり細胞死による密度の減少という状況に上皮がどのように対処するかを検討した。

細胞死の後、周囲の細胞は低密度になる。

この低密度状態もまたPiezo1活性化を引き起こし、それによって細胞分裂が開始して細胞数のバランスが回復することが分かった。

著者たちは、細胞の伸展が細胞分裂を誘発する分子機構についての手掛かりを示し、細胞が受ける機械的な力の種類によってPiezo1が細胞分裂または細胞の押し出しのどちらかのシグナルを出すのではないかと考えている。

Nature543, 7643

2017年3月2日

原著論文:

doi:10.1038/nature21407

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