MRSAはグリカンを変化させて免疫を回避する

医療関連MRSAおよび家畜関連MRSAが適応免疫を回避できるようになる、新規な機構が報告された.

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染は臨床における重大な問題である。今回、医療関連MRSAおよび家畜関連MRSAが適応免疫を回避できるようになる、新規な機構が報告された。プロファージにコードされていてファージ感染により交換される、今まで知られていなかったグリコシルトランスフェラーゼが、この研究によって見つかり、構造的特徴と機能的特徴の両方が明らかにされた。この新しい酵素は、細胞壁テイコ酸(WTA)のリビトールリン酸(RboP)の反復単位のC4ではなく、C3にβ糖鎖修飾を行うことでWTAの糖鎖修飾パターンをわずかに変化させ、これによってマウスでは防御的抗体応答の誘導が大幅に低下する。この結果はまた、ヒト循環血中には1種類のWTAに対する抗体だけが存在し、それとは異なるWTAに対する抗体が存在しないことと一致している。新規な酵素は、ドイツの医療関連MRSA分離株の70~80%、デンマークの家畜関連MRSA分離株の40%で発現が見られる。

Nature563, 7733

原著論文:

doi: 10.1038/s41586-018-0730-x

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