植物でのシグナル識別

鳥居啓子(米国ワシントン大学)たちは今回、気孔形成および気孔分布パターンの形成について調べ、予想外のシグナル伝達機構を見いだした。

気孔は植物の表面にある小孔で、植物と大気の間での水やガスの交換に関わっている。

植物の表皮細胞層での気孔の分布パターンは、位置に関わる合図を介した細胞間情報交換に依存していて、こうした合図の1つがEPF(epidermal patterning factor)と呼ばれる分泌型ペプチドのファミリーである。鳥居啓子(米国ワシントン大学)たちは今回、気孔形成および気孔分布パターンの形成について調べ、予想外のシグナル伝達機構を見いだした。まず、気孔形成の正の制御因子であるストマジェン(Stomagen)と負の制御因子であるEPF2という2つのシグナル伝達ペプチドが、同じ受容体キナーゼERECTAを用いて気孔形成を微調整していることが分かった。これら2種類のペプチドは共に、ERECTAとその共受容体TMM(TOO MANY MOUTHS)に同程度の親和性で結合するので、受容体への結合に関してこれらは互いに拮抗することになる。活性化されたERECTAが促進性もしくは抑制性のシグナルのどちらを伝達するのかを決定しているのは下流のシグナル伝達であるらしい。in vivoでのデータは、EPF2は下流のシグナル伝達成分のリン酸化を引き起こすが、ストマジェンではリン酸化が起こらないことを示している。

Nature 522, 7557

2015年6月25日

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