植物の免疫をプログラムする

包括的なトランスレートーム解析を通じ、植物が病原体誘導性免疫を確立するために転写産物の変化とは独立に翻訳産物も調節していることを見いだした。

植物が、転写応答の再プログラム化によって免疫応答を引き起こしていることはよく知られている。今回X Dongたちは、包括的なトランスレートーム(translatome)解析を通じて、植物が、病原体誘導性免疫を確立するために転写産物の変化とは独立に翻訳産物も調節していることを見いだした。これによって植物の免疫応答の新たな調節因子が明らかとなり、こうした状況で翻訳効率の変化を受けるメッセンジャーRNAの分子シグネチャーが特定された。

著者たちはまた、この知見に基づいて病害抵抗性の植物を作出できることを、別の論文で実証している。実験室および野外の両方で、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)とイネに翻訳制御を導入して免疫メディエーターの産生を促進させると、植物の適応度を損なうことなく病害抵抗性を付与できることが示された。

Nature545, 7655

2017年5月25日

原著論文:

doi:10.1038/nature22372

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