マウスの腸内細菌は食塩感受性高血圧を抑制する

ヒトの疾患に腸内微生物相が役割を果たすことは、広く認められつつある。

Credit: IAN HOOTON / Science Photo Library / Getty Images

ヒトの疾患に腸内微生物相が役割を果たすことは、広く認められつつある。

D Müllerたちは、塩分を多く含む食餌がマウスの腸内微生物相の構成を変化させ、乳酸菌の一種である共生細菌のLactobacillus murinusの数を大幅に減らし、その代謝産物であるインドールの産生を低下させることを報告している。

塩分を多く含む食餌が病原性の17型ヘルパーT(T17)細胞の生成を引き起こし、これがさらに高血圧や自己免疫と結び付くことは、以前の研究で示唆されている。

塩分を多く含む食餌を与えられているマウスにL. murinusを投与すると、能動的に誘導された自己免疫性脳脊髄炎や食塩感受性高血圧の塩分による悪化が防止され、これがT17細胞の生成抑制を介していることが、今回明らかになった。

さらに少数のヒト被験者でのパイロット研究で、塩の投与量を増やすと血圧上昇とT17細胞の増加が引き起こされ、これが腸内のLactobacillus類の減少を伴うことも示された。

だが、マウスでのこれらの知見がヒトでも通用するかどうかを決めるには、さらなる研究が必要である。

Nature551, 7682

原著論文:

doi: 10.1038/nature24628

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