材料を原子スケールまで薄くするとその特性はどうなるのかという疑問は、長い間おおむね仮定上のものであった。

材料を原子スケールまで薄くするとその特性はどうなるのかという疑問は、長い間おおむね仮定上のものであった。

この10年で、新しい実験方法によって多様な二次元構造体の単離と測定が可能になり、多くの理論予測を検証できるようになった。

しかし、固有の長距離磁気秩序が二次元において確実に存在できるのかという長年の基本的な疑問を解明できる可能性がある固有の磁気的効果を観測することは、特に困難であった。

今回、2つの研究グループがこの難題に取り組み、原子レベルにまで薄い結晶の強磁性について報告している。

X Zhangたちは、CrGeTe原子層を測定し、通常とは異なり弱い磁場で転移温度を制御できる強磁性秩序を観測した。

一方、X Xuたちは、CrI原子層を測定し、意外なことに、2層のCrIでは抑制されるが3層では復活する強磁性秩序を観測した。

これら2つの研究では、純粋な二次元磁性体の基本的特性を検証するための基盤が実証されている。

Nature546, 7657

2017年6月8日

原著論文:

doi:10.1038/nature22391

doi:10.1038/nature22060

【関連記事】

相転移材料は次の局面へ Nature546, 7656 2017年6月1日

凍結電荷による伝導 Nature545, 7652 2017年5月4日

熱の量子 Nature545, 7652 2017年5月4日

顕微鏡下の振動 Nature543, 7646 2017年3月23日

注目記事