原核生物が隠し持つユビキチン化の仕組み

ユビキチン化の細菌感染での役割や、原核生物以外でおそらく果たしている役割について、今後の研究の道が開けるだろう。
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ユビキチンは、E1、E2およびE3という酵素が触媒する一連の反応を経て細胞内の他のタンパク質に結合し、その安定性や活性を変化させる。

原核生物はユビキチンを持たないが、病原菌にはタンパク質のユビキチン化に影響を及ぼすことができる酵素が複数存在する。

例えばレジオネラ菌は、感染の際にSdeAというエフェクターを産生し、これが単独で、宿主のユビキチン化装置とは無関係に基質タンパク質をユビキチン化する。

その代わり、このエフェクターには触媒プラットフォームが2つ、すなわち、ユビキチンのADPリボシル化を触媒するモノADPリボシルトランスフェラーゼ(mART)ドメインとホスホリボシル化されたユビキチンの基質タンパク質への連結を触媒するホスホジエステラーゼ(PDE)ドメインがあると考えられている。

今回、3つの研究チームがそれぞれ別個に、SdeAが実行するユビキチン化の分子機構に関する手掛かりを明らかにしている。

これらの知見によって、この珍しい様式のユビキチン化の細菌感染での役割や、原核生物以外でおそらく果たしている役割について、今後の研究の道が開けるだろう。

Nature557, 7707

原著論文:

doi: 10.1038/s41586-018-0146-7

doi: 10.1038/s41586-018-0147-6

doi: 10.1038/s41586-018-0145-8

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