「人×テクノロジー」を日々実践 進化を続けるYahoo!ニュースアプリ

アプリならではのメリットとは。
Yahoo!ニュース

Yahoo!ニュースアプリ」が登場したのは、2013年のこと。アプリならではのプッシュ通知機能を生かし、1日3度の定期ニュース(朝刊、昼刊、夕刊)や号外、さらには防災通知など、フレキシブルな情報配信を行っています。アプリを開かずとも速報が目に飛び込んでくる仕様は、緊急時ほど有用なものでしょう。

ところでこのプッシュ通知、自動配信だけでなく、Yahoo!ニュース トピックス編集部による手作業で行われているものがあると聞けば、驚かれる人も多いのではないでしょうか。今回はYahoo!ニュースのアプリ領域に着目し、ヤフーが全社的に掲げる「人(編集)×テクノロジー」の実情に迫ります。

取材・文/友清 哲

※この記事は「news HACK」内に2017年9月29日に掲載された記事です

アプリならではのメリットとは

「Yahoo!ニュースは現在、ウェブとアプリの2本柱で展開し、このうちアプリ領域については企画と編集、エンジニアなど約30人ほどのスタッフで運営しています。もともとはウェブ版のスマホ対応に注力してきた経緯がある一方、SNSやゲームなどでアプリが積極的に活用されるようになった背景を受け、より使いやすい形で情報をお届けできるよう、アプリ版のリリースに至りました」

齋藤さんは新卒でヤフーに入社後、2012年に制作職としてYahoo!ニュースの担当に。現在はアプリ領域のプロジェクトマネージャーを務める

こう語るのは、Yahoo!ニュースアプリの運営に携わるニュース・スポーツ事業本部企画部の齋藤梨乃さん。リリース以降、着々とアップデートを重ね、ウェブ版とはまた異なる進化を続けています。

一例を挙げると、ユーザーが指定する都道府県別に特定のYahoo!ニュース トピックスをプッシュ通知機能を使って配信できるのも、アプリならではの機能。「主要」「国内」「スポーツ」といったカテゴリーと一緒に設置された「都道府県」のタブは、ユーザーが任意に設定した最大2つの地域の関連ニュースをまとめてチェックできます。

「地域別のトピックは誰もが知りたい情報ではなくても、該当地域の人にとっては重要なニュースということも少なくありません。居住区と出身地、あるいは居住区と勤務地など、ユーザーそれぞれが関心のある2つの地域にカスタマイズできるので、ご好評いただいています」(齋藤さん)

昨年11月に新機能としてYahoo!ニュースアプリに追加された「話題のニュースの流れを見る」機能

また、「主要」タブの画面下にある「話題のニュースの流れを見る」機能にもご注目。こちらは特定のトピックスに関して、事象発生から現時点までの変遷がまとまっています。たまたま目に飛び込んできたニュースの詳細を1から知る際に便利な、かゆいところに手が届く機能といえます。

このほか、「Yahoo!ニュース 特集」の記事をオリジナルコンテンツとして随時配信。読み応え十分で、やはりユーザーから多くの反響を得ているとのことです。

では、従来のウェブ版とは別にこうしたアプリ版を投入する、サービス提供側のメリットは何でしょうか。

「配信している記事そのものは、ウェブもアプリも変わりません。しかし、プロダクトとしての利便性や使い勝手の良さを追求できるのは、やはりアプリ版だと思います。目的の情報を探しやすいインターフェース設計に加え、サクサクと快適に動作するのも大きな利点でしょう」(齋藤さん)

ただし、ウェブ版と異なり、ユーザーがアプリそのものをダウンロードしなければならない 「ひと手間」が発生する点は、サービス提供側にとっても無視できないハードルの1つ。だからこそ、その手間を補って余りある機能性が必要なのだと齋藤さんは語ります。そして、その代表例が、プッシュ通知機能というわけです。

「人×テクノロジー」で日々のニュースをセレクト

ユーザー自ら情報を取りにいかずとも、適宜セグメントされた情報が送られてくるプッシュ通知機能。これにより、号外のような速報性を求められるニュースや、緊急を要する災害情報などへの対応力は格段にアップします。

朝・昼・夕と1日に3度、定期的にその日のニュースが配信される(画像はiOS版)。なお、防災通知や号外ニュースも含め、ユーザーの任意で通知のオン・オフが可能

ニュース・スポーツ事業本部編集部でYahoo!ニュースアプリの編集窓口を担う涌井瑞希さんはこのように説明します。

「プッシュ通知には、自動で送信するものと、人が手動で送信するものの2種類があります。たとえば、地震や台風などの災害情報は自動化しており、気象庁から一定レベルを超える情報が得られると、人の手を介することなく、迅速にみなさんのスマホに通知されます。一方、朝刊・昼刊・夕刊として定期的に通知するコンテンツの一覧については、号外と同じく編集部が記事の選定を行った上で配信設定をしています」

後者はシフト体制を組み、稼働するYahoo!ニュース トピックス編集部員が、決められた配信時間前にトピックスの中から選んでいます(編集部の詳細はこちらをご覧ください※「1日4000本の記事と向き合う『Yahoo!ニュース トピックス編集部』のすべて」)。8時配信の朝刊は6本、12時配信の昼刊は3本、18時配信の夕刊は6本、ニュースの内容の硬軟をバランスよく考え構成しています。

その選定フローについて、涌井さんによると次のとおりです。

「Yahoo!ニュース トピックス編集部では、朝刊・昼刊・夕刊の担当者を日々のシフト帯ごとに置いています。その担当者が選び出したトピックスを部内で意見を出し合った上で決定しています。内容によっては配信直前まで協議したり、配信時間の数分前になって急きょ差し替えたりすることも。システムは配信時刻ギリギリまで操作可能なので、常に新鮮な情報をお届けできるのは1つの強みではないでしょうか」

Yahoo!ニュースは大きな影響力を持つサービス。方針や構成にブレがないか、情報を適切に伝えることができたか、定期的に編集部内で振り返りの機会を持つよう努めていると涌井さんは語ります。そこで立ち返るのがYahoo!ニュース トピックスの柱である「公共性」と「社会的関心」であり、これが日々の膨大な情報量を裁く要となっているのです。

Yahoo!ニュースが担う役割は

それにしてもなぜ、わざわざこうした「人の手」を重視した体制が組まれているのでしょうか。AIや機械学習への期待が高まる今日からすると、疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。

「ユーザーが好む話題だけを自動で抽出し、それぞれに配信することも技術的には可能です。しかし、好きな話題、ニュースにだけ触れて過ごすのが、必ずしもいいこととは限りません。日本社会で暮らす以上、国や自治体の動き、経済の流れについて、最低限知っておいたほうがいい情報もあるでしょう。Yahoo!ニュースはそうした情報をしっかり届けていくべきだと考えています」(齋藤さん)

つまり、情報の価値判断については人力で行うのがベストというのが、Yahoo!ニュースの考え方。ユーザーの情報リテラシーを左右する重要なニュースサービスだからこそ、機械任せではなく、人の手を介して情報を届けたいという思いがあるのです。

一方で、齋藤さんは次のようにも語ります。

「その反面、手作業には限界があることも理解しています。何百、何千という記事を人の力だけでチェックするのは困難ですし、時間的な制約もあります。将来的には価値判断の大元の部分を人が担い、それを機械が学習して実行するというフローも取り入れることになるでしょう」

そしてこれこそが、ヤフーが目指す「人×テクノロジー」の在り方。Yahoo!ニュースアプリにはこうした実験的な取り組みも期待されているのです。

実際、直近のアップデートでは、スマホ・PCブラウザのYahoo!ニューストップページに「Yahoo!ニュース 動画」の専用枠が設けられるなど、まだまだ進化を続けているYahoo!ニュースアプリ。着実なテクノロジーの発展と確固たる方針の融合で、今後ますます使いやすく有用なニュースサービスへと進化していくに違いありません。

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