広告を考える

昨日(1月28日)の夜、ぼくは東京FMの番組「タイムライン」にゲスト出演した。この番組は平日19時から日替わりのキャスターによりその時々の時事的なテーマを掘り下げる、言わばニュース解説のFM版。火曜日は元通産官僚で慶応大学教授の岸博幸氏がキャスターで、昨日のテーマは「ネイティブ広告」だった。
雑誌『宣伝会議』のネットメディア・Advertimesに、谷口マサト氏とぼくの対談記事が2週に渡って掲載された。(「広告とコンテンツ融合の可能性」(前編)・(後編)「境治さんに聞きに行く」となっていて、実際にぼくが間借りしているデザイン事務所BeeStaffCompanyに"聞きに来て"くれたのだが、記事を読むと聞いているのはぼくの方だ。
コマーシャルを見てつい泣いてしまった時、そのCMは目的通りの効果を発揮したと言える。その効果とは、われわれの心の琴線に触れ、感情を高ぶらせ、広告を提供した企業に対して温かい気持ちにさせることだ。
テクノロジー業界の巨人インテル社が、ユニフォームの外側ではなく内側にブランディング広告を3400万ドル(約34億円)支払った。
マーケティング担当者の半分以上がデジタル技術を使った戦略に自信がないー。コンピューターソフトの会社アドビシステムズによる最近の調査がそう伝えている。ソフトウェアをもっと販売したがっている「アドビ社が手がけた調査だから、そんな結果が出るのだろう」といってしまうのは早計だ。
Web上で気に入った画像をユーザーが投稿する形で貼り付ける(pinする)ことによって、皆で画像を共有するピンタレスト(Pinterest)は、広告主提供の画像をボード上に貼り付ける"Promoted Pin"サービスを試験的に実施することになった。   
この試みがすべてではないし完璧なものだと言うつもりもないが、少なくとも、これからの広告、広告の次の広告のひとつの形を示しているのだと言える。この事例は、さっきの「大阪の虎柄のおばちゃん」の例みたいにわかりやすく派手ではない。けれども、こんな風に静かにあちこちで、広告は進化していくのかもしれないね。
努力して出世して高い収入を得たら「多く使う」。そのことに大した価値がない、さほど意味がないことをぼくたちは知ってしまった。そんなことをしても、リーマンショックや震災で簡単に物事がひっくり返るし、それよりも何か「善い」事にエネルギーを注いだ方がいい。いままでは道徳の教科書の中の考え方だったのが、普通に受けとめる考え方になった。それがデータに現れているのだ。
メディアの未来は、ウェブに習うとかソーシャルだとか言うと、よくわからない、数値的なものに捉えがちだが、もっと素朴なことなのかもしれない。ぼくたちがたどってきたアナログな時代の道筋にこそヒントがあるかもしれないと思うと、また面白くなってきたじゃないか。
これまでの広告は、日々の暮らしの中に突然乱入してきて「これいいっす!すげえいいっす!」と叫び続けるのが基本姿勢だった。でも消費に冷めた人びとには、そんなことだけでは効かない。代わりに、楽しそうなコミュニティをむにゃむにゃと作り上げるのだ。