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「がんになっても辞めないで」 がんと共に生きる社員を、みんなで支える会社がある

がんとの共生社会を目指してー先進企業の取り組みインタビュー

3年連続で健康経営銘柄に選定されたテルモ株式会社。がん就労支援制度の制定、検診受診の徹底的な推進、医療従事者の安全を守る活動など、同社の社内外での多角的な取り組みをリポートする。

国内大手の医療機器メーカーであるテルモは、3年連続で健康経営銘柄に選定されるなど、社員の健康増進に積極的に取り組んでいる。

同社が推進する健康経営の柱は「喫煙率、メタボ率の低減」「がんの早期発見、早期治療、職場復帰」「ウィメンズヘルス」「自発的取り組みの奨励」の四つ。このうち、がん関連では2017年1月にがん就労支援制度を制定し、治療を続けながら働く社員をサポートする姿勢を社内外に明確に打ち出した。

「制度を設けたことで、がんに罹患(りかん)しても『会社を辞めなくてもいいんだ』と前向きに治療に向き合う材料のひとつになったと思います。以前から個別の支援は行っていましたが、がん発覚直後は、まず退職を意識する社員が多かったですから」(竹田敬治氏)

人事部長 健康管理担当 テルモ健康保険組合理事長 竹田敬治氏

現在、制度の利用者は10人弱。具体的には次のような制度内容で、通院しながら、よりフレキシブルな勤務が可能となった。

①失効有休の1日単位利用(連続使用しか認められていなかった)

②無給休暇の付与(翌年の有休が削減されないための配慮)

③無給短時間勤務(最大2時間)

④時差勤務(最大2時間)

一般的に治療と仕事の両立中は、職場に送り出すご家族も不安だ。今回の制度制定はその不安を解消する意味も大きい。同時に、会社のメッセージは職場の上司・同僚にもしっかりと浸透していると竹田氏。制度をきっかけに、会社・職場・家族が一体となって「がんとの共生」を支える態勢に繋がったという。

検診受診も徹底して推進

「がん治療は非常につらく、厳しい闘いです。しかし、働くことが大きな目標となり、心の支えになる。会社としてしっかりと支えていきたいですね」(竹田氏)

また、がんの早期発見のための取り組みも成果を上げている。

胃がん、大腸がん、肝・膵・胆がん(上腹部)、前立腺がん、乳がんの検査は法定の定期健診に組み込み、原則受診が必須で自己負担ゼロ。また、受診率を各営業支店の評価にも反映させ、全社で法定定期健診の受診率は100%、がん検査も約80%の受診率を達成した。

「さらに、2次検診の受診率を100%に引き上げることが現在の目標です。忙しいからと受診しない場合は、産業保健スタッフや人事担当者から、しつこく受診勧奨をしています」(竹田氏)

社内の禁煙活動にも熱心だ。全社スモークフリー化、禁煙セミナーの開催、社内禁煙外来の設置など、多様な施策を実施。家族を巻き込んだ禁煙アプローチなども成果を上げ、少しずつ喫煙率は低下してきている。

医療従事者の安全を守る

「がんとの共生社会」の実現に向けては、がんを治療する側である医療従事者も主要なプレーヤーだ。

テルモは、医療機器メーカーとして、抗がん剤治療に携わる看護師や薬剤師などの健康・安全のための活動にも取り組んでいる。

抗がん剤は発がん性などのリスクが指摘されているが、調剤や投与の際に飛散(ひさん)したり、こぼれた場合、看護師や薬剤師に健康被害が生じる可能性がある(曝露リスク)。

そのため同社では、曝露リスクの周知、正しい取り扱いの手技の普及、暴露対策デバイスの普及、そして啓発活動を実施している。

「医療従事者の安全を守ることを第一の目的とした活動をしています。医療従事者の理解も少しずつ進んでいますが、曝露対策デバイスの普及率は、コストが高いこともあり、まだまだ十分とはいえない状況です」(中北香子氏)

ホスピタルカンパニー 基盤医療器 部長代理 中北香子氏

現場の看護師や薬剤師の間では、曝露リスクに対する問題意識は高まっているが、それだけでは、なかなか病院経営層を動かすまでには至らない。

そこで中北氏らが目下の課題としているのが医師への働きかけだ。賛同する医師の協力を得て、学会や媒体での情報発信にも努めているという。

「看護師の離職や、適切な医療の提供にもかかわる問題なので、一部の医師からは『病院経営にとって必要な投資』という声も上がっています。学会によるガイドラインも整備されてきているので、今後も粘り強く活動を続け、医療従事者が安心して働くことができる職場環境を早く実現したいですね」(中北香子氏)

医療にかかわる企業として、社員の健康増進は何より重要なテーマ。しかし同社はそれにとどまらず、広く社外に向けても「健康」を発信し続ける。

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