2017年注目のスポーツビジネストレンドvol.2 eスポーツがニッチから主流に進化

2016年の北米のスポーツマーケティング情勢を形成する5つの重要なビジネストレンドに注目しました。

ニールセンスポーツでは、2016年の北米のスポーツマーケティング情勢を形成する5つの重要なビジネストレンドに注目しました。

◆アメリカのeスポーツのファン層は2015年の2,570万人から、4,530万人に拡大

2016年に競技スポーツの世界はアメリカで飛躍的な広がりを見せ、かつてない水準の投資が行われ、急速に関心が高まりファンが急増しています。

「2016 ニールセン eスポーツ レポート」によると、アメリカのeスポーツのファン層は、2015年の2,570万人から76%増加し、4,530万人となっています。約24%にあたる1,090万人のeスポーツファンは、自分を熱心なeスポーツファンと考えており、月に5時間以上このスポーツに関わっています。予想されるとおり、熱心なeスポーツファンの83%は男性で、このうち78%が13~34歳です。

◆優良ブランドによるスポンサー投資

熱心なeスポーツファンのうち約60%は世帯収入が5万ドル以上で、21歳以上のeスポーツファンのうち85%は大学就学経験があります。熱心なeスポーツファンには、学歴が高く、可処分所得の多い若い男性が圧倒的に多いといった事実から、eスポーツはコカ・コーラ、アウディ、アンハイザー・ブッシュなど地方色の薄い優良ブランドから多額の投資を集めています。

◆キャンパスにおけるeスポーツ

ミシガン州とオハイオ州はフットボールフィールドで最大のライバル関係とみられていますが、そのライバル関係がeスポーツの舞台にどのように現れているかを見ると興味深いことがわかります。カレッジeスポーツは、ビッグ10やパシフィック12などの主要なカレッジカンファレンスから多額の投資や サポートを受けています。

大学生の年代を含む18~34歳が熱心なeスポーツファンの33%(360万人)を占めていることを考えると、これには大きな意味があります。トッププレーヤーは大学から奨学金を受け、カレッジカンファレンスはゲームパブリッシャーと提携して、シーズンを通したカンファレンス・チャンピオンシップ競技を運営しています。これらのイベントはすべて、従来型の放送(リニアTV)とデジタルストリーミングで放送されます。

◆ジャンルを超えるeスポーツの魅力

ファン層の重なりもかなり大きく、NBAファンは一般の人よりeスポーツファンになる割合が114%高いことがわかっています。つまり、マイアミ・ヒートとフィラデルフィア・76ersがNBAで戦う一方で、多くのファンは、両チームが所有する「Misfits」(ヒートが資本提携したプロe-Sportsチーム)と「Team Dignitas」(76ersが買収)の試合にも関心を持つ可能性があるということです。

ほかの従来型チームスポーツのオーナーや元アスリートが、eスポーツのチームに投資することがトレンドになっており、この傾向によって今後もeスポーツのビジネスが強化されていくと考えられます。これらの投資家によって、スポンサー、メディア、マーチャンダイジング、チケット販売などのノウハウがeスポーツのエコシステムにもたらされます。

◆従来のメディアにとっては新しいコンテンツや番組の要素に

eスポーツのファンがコンテンツにかかわる際のプラットフォームには「Twitch」(Amazon.com が提供するライブストリーミング配信プラットフォーム)がよく利用されていますが、ほかに「従来型」のメディア企業もこの波に乗ることに成功しており、eスポーツが新しいファンを獲得するためのプラットフォームは広がっています。

2016年に「ターナースポーツ」は「WME-IMG」(スポーツ・芸能マネジメント会社)と提携して「ELeague」を創設し、最も視聴されたテレビ放送は2016年11月18日の40万2,000人でした。ESPNも今年初めにeスポーツ専門のバーティカルポータルを立ち上げました。eスポーツをほかの従来型スポーツと同様に扱うというESPNの方針が当たり、ファンの20%が「eスポーツのニュースを見るならESPN」と考えています。

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