日本でもSNSを中心としたデジタルコンテンツを利用して、ファンを獲得したり、満足度をアップするスポーツチームやリーグが増えています。
しかし、質の高いコンテンツであっても、きちんと計画されず、デジタルでの配信方法が適していなければ、その効果は下がります。コンテンツの内容だけでなく、どこで、どのように語られるかが大切です。
レピュコムでは2014-15年シーズン、欧州の主要な25のサッカークラブが持つ3つのSNS(ツイッター、フェイスブック、インスタグラム)における1万5000以上もの投稿を分類し、分析しました。
◆『ファンストーリー』※ による分類
スポーツチームやリーグでよく投稿されるものは、下記のように分類できます。
・メンバー発表
・得点経過
・選手スタッツ
・試合ハイライト
・練習風景
・オフショット
・キャンペーン、アンケート
・試合スタッツ
・インタビュー、Q&A
・月間ベストゴール
・月間ベストプレーヤー
◆どのSNSで、どんな『ファンストーリー』が効果を発揮するか
Instagramは試合が行われていない時に、ファンの興味を惹く最適なプラットフォームです。「トレーニング情報」「オフショット」といった類いのコンテンツが特に強く効果を発揮します。
○Instagramで最も効果を発揮した『ファンストーリー』
・練習風景 9.3%
・試合/シーズンまでのカウントダウン 8.7%
・オフショット 7.6%
・試合の実況解説 7.5%
・ハイライト 5.3%
Twitterは、リアルタイムのプラットフォームです。30%がクラブの公式アカウントなどから投稿される『試合の実況、解説』が占めています。
○Twitterで最も効果を発揮した『ファンストーリー』
・試合の実況解説 31.1%
・インタビュー、Q&A 8.5%
・試合前の様子:ウォーミングアップ 6.0%
・移籍情報 6.0%
・スタッツなど 5.8%
Facebookはツイッターと同様にリアルタイムの投稿が高いエンゲージメントを得ています。「試合の実況、解説」関連の投稿は、全投稿のうち12%を占めています。
○Facebookで最も効果を発揮した『ファンストーリー』
・試合のハイライト 17.5%
・インタビュー、Q&A 15.7%
・試合の実況解説 12.1%
・試合/シーズンまでのカウントダウン 8.9%
・キャンペーン、アンケート 5.8%
海外の事例では、大手のスポンサーがチームやリーグの『ファンストーリー』に投資をすることで、よりグローバルなファン層に訴えかけ、さらに大きなマネタイズが見込めるようになっています。
重要なのはどんなコンテンツが、どのSNSで最高の効果を発揮するか見極めることです。それぞれのプラットフォームでの適性、マネタイズにおける戦略が的確であれば、フォロワーをクラブチームの公式サイトに引き寄せ、会員などの登録を促し、チケットやグッズの売上に結びつけ、さらにはスポンサーに利益をもたらすことも可能です。
◆スポーツ界でもっとも効果的だった『ファンストーリー』のトップ5
1.『アワード(AWARDS)』 活用事例:リバプールFC
・『月間(シーズン)ベストゴール/プレーヤー』は多くのインタラクションを呼び、話題を刺激するような効果的な投稿となっています。
2.『グッズ/プログラムなど(CLUB MERCHANDISE/PROGRAMMES)』 活用事例:チェルシーFC
・リリースやクラブのグッズ販売において、SNSのフォロワーをより広告価値の高い公式サイトに誘致しています。
3.『スタッツ関連(STATISTICS)』 活用事例:NFL(アメリカンフットボール)
・"ゲームエキスパート"と呼ばれるようなコアなファンの要求も満たすコンテンツ。球団やリーグが、様々なスタッツ、興味深いデータ、インフォグラフィックやアニメーションなどのデータを提供しています。
4.『移籍情報(TRANSFER NEWS)』 活用事例:MLB(メジャーリーグベースボール)
・新契約やそれに伴う選手インタビューについて、ファンはオフィシャルの発表を求めており、それに答えたものとなっています。
5.『インタビュー、Q&A(PLAYER Q&A)』 活用事例:メルセデスAMGペトロナス
・ファンと交流するためにSNS上で動画を多用。ファンの質問に選手が直接答えるというコンテンツで多くのフォロワーを集めています。