2017年注目のスポーツビジネストレンドvol.1 SNSの収益化

チームやリーグは、次第にソーシャルメディアの膨大なフォロワーを有効活用して、ブランドとの協力関係を深めるようになっています。

◆選手個人のブランディング

ケヴィン・デュラントは、オクラホマシティ・サンダーから ゴールデンステート・ウォリアーズへの移籍を決めた時、「The Players' Tribune」(アスリートが生の声をファンに直接発信できる新しい形のメディア)を通じて、個人的にファンに決意の説明をしました。

新しいサイトや技術が普及したことで、アスリートは自分のメッセージをコントロールし、ファンと直接つながることができるようになりました。また、アスリートはソーシャルメディアを利用し、コンテンツのキュレーションを行ったり、スポンサー、広告メッセージを有機的に統合したりすることで、個人ブランドを構築し収益化しています。

◆チームとブランドでソーシャルメディアを活用

チームやリーグは、次第にソーシャルメディアの膨大なフォロワーを有効活用して、ブランドとの協力関係を深めるようになっています。ニールセンスポーツがアメリカのリーグとチーム全般について詳細な分析を行ったところ、アクティブなスポンサー上位20社が管理するソーシャルメディアアカウントからシーズン中に得たメディア収益は、1チーム当たり合計250万~300万ドルに上っています。

大規模なフォロワー基盤を背景に「Facebook」が最も価値の高いプラットフォームとなっていますが、スポンサー価値を最も効率よく高めるプラットフォームとなったのは「Instagram」です。「Twitter」は最も価値が低く、その主な理由は、コンテンツが短時間で入れ替わるためインプレッション数が大きくなりにくいことにあります。

◆エンターテイメントとスポーツの融合

多くのブランドは、エンターテイメントとスポーツのジャンル横断からも恩恵を受けています。スーパーボウルなどの大規模スポーツイベントでは、以前から有名ミュージシャンが演奏していますが、スポンサーはソーシャルメディアなどのマーケティングチャネルをさらに有効に活用し、ブランドをコンテンツと統合、あるいはコンテンツをブランドで覆っています。

このことはファンの関わり方にも表れています。第50回スーパーボウルで最も視聴された10分間は。「ペプシハーフタイムショー」でした。さらに、試合前後のTwitterの会話でよく使われたハッシュタグのトップ10に「#pepsihalftime」がランクインしています。このハッシュタグは、ビヨンセがハーフタイムショーで初披露した新曲のタイトル、「#formation」の3倍もツイートされました。

◆チームは専用コンテンツで関係を深める

スポーツチームは、主要なゲーム以外に舞台裏の活動きやイベントを見せることでファンとの関係を深めています。ミシガンのフットボール監督ジム・ハーバウは、単に新人候補リストをウェブサイトに載せたりプレスリリースを公表したりするのではなく、The Players' Tribuneと提携して「Singing of the Stars」イベントを創設しました。

これはファンがユニークかつ、創造的な方法でチームやその新人と関わることができるようにするイベントです。このプログラムではスポンサーを統合し、「ChadTough Foundation」として多額の資金を調達するとともに知名度を高めました。このような直接的で、バイアスのかからないコミュニケーションは、スポーツのエコシステム全体でフィールドの外側での関係を深めています。

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