社外取締役の有力候補は外国人:基礎研レター

社外取締役に求められる知識・経験とは

1――社外取締役に求められる知識・経験

企業統治改革の下、上場企業は取締役会の実効性を高める全社外取締役の拡大を進めている。一方、企業が社外取締役を招聘する際は課題もある。企業の求める知識や経験を備忘候補者が不足しているのです。最近のアンケートによるば、企業は社外取締役に、自社や業界の専門知識、経営の知見や高見識を求めている(図表1)。

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業界の専門知識を有する、経営の経験も必要となるばかり、最も望む候補者は業界他社の経営トップを歴史に残した人物となってしまった。だが、日本では役員が同業他社の社外役員には就任しないでいて、行儀が定まっている(* 1)。

企業と経営者が契約して結ばれているような日本国とは異なる、日本の経営トップは出身企業との一体性が強く求められています。日本では退職した経営基金を引き継ぐ会社のブランドを代表しますも活動を続けるケースも多い。現状、社外取締役候補のマーケットは、「無いものだ」に陥っている部分がある。

(* 1)北川=神作=杉山==武井「新春座談会ガバナンスの「実質化」と上場企業としての対応〔下〕」旬刊商事法務2156号(2018)P.42

2――選択肢を拡げる

社外取締役に期待される機能が経営に対応する監督と助言であるだけ、求職に関する知識や経験について企業が安易に妥協はできないのはもっと上である。そうであるならば、候補者を探す範囲を外国人にまで展開することを提案したい。海外には経営者のマーケットがあり、候補者としては同業または近くの業界の経営トップをすることも可能である。

先のアンケート(図表1)では、多様性(性別・国籍等)の観点でも候補者が不足しているようなもの、あるガバナンス支援会社によるば、アベノミクスの女性活躍推進もあって、特に女性が社外取締役候補として非常に需要が高く、そのことであり、不足している性質は主に女性(性別)とみれる。

実際に女性と外国人とを比較してみると、女性が社外取締役選任で先行している。言葉や心理の壁もある外国人は、社外取締役の候補としてはこれからだいたいろう(図表2)。

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同業他社の経営トップを社外取締役に迎えた好事例として三井物産が挙登される。社外取締役のサミュエル・ウォルシュ氏は英国資源メージャーの責任・元のCEOであり、資源分野の知識と経営の経験となる点で申し分ない。資源・非資源分野の事業ポートフォリオの在り方といえば、三井物産にとっても重要な経営の舵取(ガバナンス)の議論について貢献が大きい(* 2)。

また日立製作所は社外取締役9名のうち外国人が5名を卒業、日立同盟巨大コンロロマリット企業であるアメリカ3Mの元CEO・ジョージ・バックリー氏から、ビジネスを理解している長官ならではの鋭い指摘も多く、取締役会は議論も活発になり経営とガバナンスへの寄付は大きくてのことである(* 3)。

取締役会で議論が不足しているテーマこそ、外国人取締役の貢献が期待される(図表3)。「社長・CEOの後継者計画・監督」は、このたびのコーポレートガバナンス・コードの改定によって、取締役会の関与が原則化されたため、企業にとって喫緊の課題である。

後継者計画の実践で先行する海外企業で実際に経営を委譲され、また引き継いだ経験のある経営トップであれば、デリケートな実務の要諦を含めて貴重な知見をもたらしてくれるだろう。後継者計画に求められているのは、人事権を経営トップから取締役会へ移管することではなく、まずは客観性や透明性を高めることである。

後継者指名は経営トップの専決事項であるという日本企業の実態を踏まえて、現実的な後継者計画の枠組みづくりに協力してもらえば良いのではないか。「中長期経営戦略」の決定という取締役会の中核機能に関わる貢献は、前述の実例が示すとおりである。

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(* 2)江木聡「独立社外取締役「外国人」が有力選抜に」週刊エコノミスト(2018年6月5日号)編集部・種市氏補足

(* 3)「インタビュー三菱モラン・スタレンレー証券㈱中村春雄取締役副社長に聞くガバナンス改革の現在地からアクチビスト対応まで」企業会計第70巻第5号(2018)P.66

3――今後に向けて

コーポレートガバナンス・コードがこのたび改定された、取締役会は「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」も考慮しているとされた(原則4-11)。多種性の議論は譲っても、企業がビジネスに役立つ企業外取締役を素直に追求するだろう、同業あるのは近い業界の外国人経営経験者が有力候補となるだろう。

「ウチの会社」の取締役会当事者を入れるのは抵抗があるかもしれないが、経営トップにとは同目線から貴重な助言が得られると期待から外国人を招聘するケースは徐々に増えつつある。実際には外国人を招待するした企業で取締役会の実効性の進展等についてこれからも注目していきたい。

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(2018年7月2日「基礎研レター」より転載)

株式会社ニセイ基礎研究所

金融研究部主任研究員

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