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2015年09月25日 15時03分 JST | 更新 2016年09月23日 18時12分 JST

注目される在宅勤務-試してわかったメリット、デメリット:研究員の眼

新しい働き方として話題になっている在宅勤務は、インターネットとIT端末を活用して自宅でオフィスと同じように仕事をする仕組みで、新たに採用する企業が増えています。

AmmentorpDK via Getty Images
High angle view of an young brunette working at her office desk with documents and laptop. Businesswoman working on paperwork.

新しい働き方として話題になっている在宅勤務は、インターネットとIT端末を活用して自宅でオフィスと同じように仕事をする仕組みです。

育児や介護と仕事の両立を容易にし、通勤の必要がないので身体的なハンディキャップのある方の働く機会を増やせるなどの利点に加え、東日本大震災以降は震災や台風などの災害時に社員が自宅待機しながら会社の業務を継続できるとして注目され、新たに採用する企業が増えています。

実は、ニッセイ基礎研究所ではかなり以前から導入されていたのですが、私自身は利用したことがありませんでした。

先日、遅まきながら実践してみた結果、いろいろな発見があったのでご報告したいと思います。ただし、あくまで個人的な感想であって在宅勤務制度の一般的な評価ではないのでご注意ください。

そもそも、オフィスでの仕事の内容や進め方、IT化の度合い、個人のデジタルスキルなどで在宅勤務に向き不向きがあって当然ですし、通勤方法や通勤時間、住宅環境や家族構成によっても評価は違ってくるでしょう。

まず、電車通勤に伴う肉体的疲労やストレスから解放され、朝もゆっくり眠れるので健康的ですが、通勤がなくなると仕事のオンとオフの切り替えがうまくできない気がします。あくまで慣れの問題だとは思いますが、窮屈なネクタイとスーツを身に着け、電車に飛び乗ることで仕事モードになる人は多いはずです。

また、狭い室内に閉じ込められてできることが限定される通勤途上と違い、自宅は何でも自由にできるにもかかわらず、通勤時に読書に充てていた時間を確保するのがかえって難しいことがわかりました。

執務環境に関しては、自宅は空調や照明を自分好みに調節できて快適ですが、何の調整機能もないダイニングの椅子は長時間のデスクワークにはまったく不向きで、腰痛が持病の人は要注意です。ノートパソコンの画面は小さく、文書の印刷やコピーは面倒なうえに割高です。

確かに、インターネットの普及によって、情報収集や社内外とのコミュニケーションに関しては自宅にいることがそれほどハンディキャップではなくなりましたが、通信環境やIT機器、家具など働くためのツールが充実して業務に集中できる(集中させられる?)環境という面では、やはりオフィスに軍配が上がります。

もちろん、オフィスと同等のIT機器と家具が備わった個室がある人の評価は違うかもしれません。

さらに、育児や介護など家族のケアが目的の在宅勤務は別として、仕事モードにない家族が周囲にいれば集中力が削がれる場面も少なくありません。可愛いペットがいるとさらにやっかいです。

癒し効果やリフレッシュ効果は大きいのですが、たとえば猫の場合、パソコンのキーボードの上を歩く、画面のカーソルを追いかける、読んでいる新聞の上に座る、肩の上に乗るは当たり前で、「遊んでよコール」もしばしばです。ずっと一緒にいると、トイレ掃除や餌やり、水替えもこまめにするはめになります。

何よりも、在宅勤務はオフィス通勤に比べて歩くことによる運動量が圧倒的に少ないことが驚きでした。歩数計で計測すると、在宅勤務の歩数はオフィス通勤時(私の場合、最低でも七千歩は歩きます)の十分の一以下です。一日中まったく外に出ないと、二十分の一にしかならない可能性すらあります。

特にマンションでは、歩幅は狭く、階下を気にしてすり足でゆっくり歩きますし、階段がなく平面移動だけですから、同じ一歩でもオフィス内での一歩に比べて負荷が非常に小さく、歩数の差以上に運動量の差があることになります。

また、自宅には好みの食べ物や飲み物があるので、自制心が強くないとついつい誘惑に負けて間食するはめになりかねません。オフィス通勤より運動量が激減して摂取カロリーが増えたのでは、メタボリックシンドロームへの道まっしぐらです。

今後、採用企業の増加によって在宅勤務制度を使いこなすためのさまざまな知恵やノウハウが社会に蓄積されていくと期待されますが、少なくとも健康上の配慮から、意識的に散歩や軽い運動、家事などを作業スケジュールに組み込む必要があることだけは間違いなさそうです。

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(2015年9月16日「研究員の眼」より転載)

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