セクハラヤジの謝罪会見――浦島花子が見た日本

多くの女性も男性も、鈴木章浩都義のセクハラヤジへの謝罪は謝罪ではなかったとコメントしているのが印象的な今回の謝罪会見。

多くの女性も男性も、鈴木章浩都義のセクハラヤジへの謝罪は謝罪ではなかったとコメントしているのが印象的な今回の謝罪会見。会見の書き下ろしを読めば、鈴木氏は何度も「申し訳なかった」と繰り返しているが、どうして多くの人の目には、彼が反省していないという風に映ったのだろう。

浦島花子は分析する。

――「私自身、少子化、晩婚化の中で早く結婚していただきたいと思い、あのような発言になったが、したくてもできない人への配慮が足りませんでした」

大きなお世話である。結婚して子を産むことだけが女の幸せではなく、幸せの定義は人それぞれである。

男性の晩婚化は少子化に繋がらないとでもお考えだろうか。男性はいくつになっても子供を作る行為はできても、育てるとなるとある程度の体力と経済力が必要なのだ。また、子供を作るだけ作っておいて、子供のことは全て母親任せだったり、もっとひどいのは養育費すら払わない無責任な父親に寛容な社会も、少子化の一原因だ。

婚外で生まれる子供達、虐待などにより親から離れて暮らしている子供達のことは念頭にないらしい。施設に預けられる子供達が増える一方で、結婚している夫婦だけで子供を増やせという。将来も鈴木氏や多くのおっさん達が提言する「家族像」を継続させたいのなら、今家族と離れて暮らすことを強いられている子供達を放っておいてはいけない。特に、虐待という悲劇は次世代へ連鎖しやすい。そんな子供達の心ケアを怠っていながら、「結婚しろ」「子供を産め」とはなんと無責任な話だろう。将来の家庭崩壊は、いや今の家庭崩壊も、人の心を無視してきた国の政策が原因なのだ。不幸せな人を増やすことは、国の利益には繋がらないことをいつになったら学ぶのか。

――「都議会正常化のために頑張らせていただきたい」

鈴木氏の「正常化」とは何を意味するのか。もともと与党が少数野党へ飛ばすヤジが横行しているのが「正常」だったのだ。今まで政治家の不祥事をうやむやにできた「正常」は、実は「正常」ではない。ついでに、独身女性議員を結婚させることも「正常化」ではない。今後のセクハラ防止のために率先して働いていただきたいが、その前にご自分の中の「正常」を見直していただきたい。

――「(辞職に匹敵するという自らの発言が)記憶にない」

嘘は嘘を生み出す。恥ずかしいのはわかるが、ついてしまった嘘はヤジ同様記録されている。シラきりは更に自分の首を締めることになる。

この3点からだけでも、多くの人々の反感を買っている理由がよくわかる。

このような記者会見は政治家にとってはダメージコントロールのために行うものだが、ダメージコントロールのはずが、しゃべればしゃべるほどボロが出る。哀しいかな、自分のイメージにさらなるダメージを加えてしまった鈴木氏。彼の根本的な考え方が変わらない限り、何度「申し訳ない」と連発しても、彼の言葉に対する信用は戻ってこないだろう。

それにしても、この記者会見の書き下ろしは、読めば読むほど、私には拷問を連想させた。取材陣が本人に言ってもらいたい、または本人の言葉で聞きたいセリフを言わせるために、しつこく同じような質問をよってたかって繰り返す。いじめと同じ要素である。

でも今回そんな記者会見が行われたからこそ、鈴木氏の本心が明るみになったのも事実だが、やはり真の「追求」をしたいなら、質問をする方ももっと賢く振舞うべきである。

アメリカの新聞社に勤めていた浦島花子は、別の違和感を感じずにはいられなかった。

会見する都議の塩村文夏氏

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