本当?地方創生事業で最も大切なのは「移住しなくてもいいよ」という、ゆるさ!?

今年の夏、私は東京で働きながらもう一つの職場ができた。
Ubdobe

みなさんこんにちは、NPO法人Ubdobe(ウブドべ)の岡です。

今日は「医療福祉エンターテインメント」を掲げる私たちの活動の中でも一風変わった事業をご紹介させてください。

その名も「医療福祉系地方創生事業」。つまり医療福祉がベースとなった地方創生です。

――地方創生とは(from Wikipedia)――

『地方創生(ちほうそうせい)とは、第2次安倍政権で掲げられた、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策である。』

私たちは3年ほど前から日本海、島根県の北に浮かぶ隠岐諸島にある海士町(あまちょう)という人口たった2300人の島との共同事業をスタートさせました。今ではこの事業がきっかけで実際に島に移住した人も5名を超えてきたが、そこに至るまでに様々な紆余曲折があったのだ。

そもそも、離島や山間部などのいわゆる過疎地と言われる地域には若者が少なく高齢者が多いことは誰もが周知の事実だとは思いますが、この状況に対してどれほどの自治体が本気で取り組んでいるだろうか?若者がいないということは働き手がいないということで、これは医療福祉職も同じくです。ただでさえ介護や看護師の不足が全国的に社会問題となっている今、離島や山間部ではかなりのピンチを迎えています。

そこで、私たちは考えました。確かに、東京で働き続けたい人もいればそうでない人もいる。都心のマンションが心地いい人もいれば田舎の古民家が肌に合う人もいる。つまりはマッチングだよねと。ここまではどこの行政もやっていますね。婚活パーティをやってみよう・モニターツアーをやってみようetc.様々な施作が行われています。

私たちが着目したのは、もっともっと前段階のところ。そもそも、その島や地域の名前すら聞いたことのない状態で興味を持ってくれるだろうか?無理ですよね。だって知らないんだもん存在を。名前だけ聞いてもわからないし、地図で見てみてもわからないし、ググってみても大体が観光っぽい同じような構図の写真が並んでいるだけ。そんな状態で「移住してください!!」っていきなり言われても誰の心も動かない。

そこで、私たちがまず開催したのがローンチパーティ。東京湾に浮かぶクルーズ船を貸し切って、海士町の食材と地酒を仕入れ、海士町で撮影してきた動画と写真を紹介しながら、海士町の社会福祉協議会や漁協や町役場で働く方々をゲストにトークライブを繰り広げる。後半にはバンドやDJも登場してパーティを盛り上げる。

「まずは知ってもらう」きっかけ作りのイベントだ。医療福祉従事者と医療福祉学生限定にし、まさかの入場無料。だが、クルーズ船に乗るにはシャモジを持参することを条件にした。海士町にはシャモジを使って踊る独特のキンニャモニャ祭というのがあって、その伝統の踊りを来場者150名以上と船上で踊って盛会のうちに幕を閉じた。

この船上パーティAMA OYSTER CRUISEの詳細レポートはミズベリングさんのページを見てほしい。写真つきで雰囲気が伝わると思うので。

まだまだ終わらないよ。

ここで海士町(あまちょう)の名前と、どんな文化でどんな人たちが住んでいるのかを知った人たちの中で「さらに知りたい」という人が出てくるのだ。そういう人たちのために、今度は20名くらいの中規模イベントを用意する。その名もAMA KITCHEN。海士町の食材を堪能しながら海士町で働く医療福祉従事者のトークを聞くだけでなく、ワークショップなどを通じて自らも一緒に島の未来を考えるのだ。この「一緒に考える」というのがとても大切で、受動的な関わりから主体性をもって関わるフェーズにシフトするのがこのイベント。ここまで来たら、もう次は「現地に行ってみたい。生で感じたい。」になるんですよね。そこでさらに小規模のイベントAMA DETOX TOURを開催する。マックスでも8名しか参加できない希少価値の高いイベントだ。ツアーでもやはりただ参加するだけでなく、様々なアトラクションやワークショップを用意し、飽きない2泊3日を過ごしてもらう。そんなツアーの様子はこちら。

参加者の様子を見てもらえれば分かる通り、最初150名以上いた中から最後の8名になる頃には、もうこの島が好きになっている状態で来るんですよね。そりゃー楽しいし、笑顔満点です。

とにかく大事なのは、実際にその地域に住んでいる「人」が発信をし、来場者には受信だけでなく、その発信側に入ってもらうということ。主催側とお客様という関係性ではなかなか「移住」までは結びつかないのです。

あともう一点大事にしているのは、『移住しなくてもいいよ』ということ。一回来てみてよ!というラフなメッセージを島民側も伝えてくれるのだ。これが参加のハードルをぐっっと下げる。いや、もちろん人口減少や医療福祉人材難で困っているわけだから移住してもらいたいのが本音。けど、まずはファンになってもらわないと移住なんてあり得ないし、ファンが発信をしてくれることで誰も知らなかったその地域の名前や存在がどんどん拡散していくのだ。

今、うちがきっかけで海士町に移住した医療福祉従事者は5名を超える。2300人の島で、5人の医療福祉従事者が増えるというのはなかなかのインパクトらしい。今度はその移住したメンバーと島民が力を合わせてさらなる外部発信と内部活性化を行っていくこと。その中心には必ず「人」がいる。一連の海士町のプロジェクトLOVE AMAを統括するのは介護福祉士として移住した小野木ダイゴくん。彼はウブマグでも意味不明な記事を発信し続けているから是非おヒマな人は読んでみてほしいです。

そして今日はさらにもう一人紹介したい人物がいるのです。

[中村 百花 a.k.a もも]

18歳から3年間、Ubdobeにボランティアスタッフとして参加。医療福祉エンターテイメントの世界にハマる。その後新卒で人材サービス企業の営業職に従事。社会の荒波に揉まれながら、あらゆる仕事の魅力をメディアを通して伝える楽しさを知る。3年半の社会修行を経て、NPO法人Ubdobeに社員としてカムバック。唯一の医療福祉未経験のスタッフとして日々奮闘中。3度の飯よりパンが好き。

Ubdobe

(左:海士町社協事務局長の片桐さん 中央:中村百花 右:LOVE AMAリーダーの小野木くん)

まー、つまりはうちの社員なのですが、この百花がUbdobeの医療福祉系地方創生事業を支えているマネージャーなのですね。そんな百花が最近熱く情熱をもって取り組んでいる地域があるという。。。

徳島県・三好市。

ほとんどの人が、どこそれ?って感じかもしれないけれど、ここがなかなかヤバイんだな。

今日は最後に、百花からの独り言のようなメッセージが届いているので紹介させてください。

ーーーーーーーー

2年前の夏、私は東京のど真ん中を、紺色のスーツを羽織って歩き回っていた。

歩き回っていたといっても、この頃は自分がちゃんと歩けているのか、フラフラになっているのかさえもわからなかった。

しょっちゅう記憶が一定期間飛んでしまうからなんでもかんでもメモをとっていたし、アポイントの帰りは疲れのあまり距離があっても自腹でタクシーを使って帰っていた。

職場と家、20分間の距離の往復。毎晩どれだけ疲れていても眠れなかった。

東京の夏なんてイライラするだけで嫌いだった。

最終的には3年間勤めて温かく見送ってもらった大好きな会社だけど、この頃は都会の大きな組織の中で、自分の限界を超えて何かをすり減らしていたような気がする。

広い東京の中ほんの狭い場所にいたのに、今ここでできなかったら、

「ここしか居場所がない、認められる場所がない」

と思っていた。

そして今年の夏、私は東京で働きながらもう一つの職場ができた。

徳島県・三好市

Ubdobe

初めて知った人も多いんじゃないかと思うけど、一言でいうと、日本人が知らない日本の秘境だ。

ここの夏は、山も空も色鮮やかで、水が澄み切っていて、みずみずしい。

私は普段は東京で働いているけれど、数ヶ月に一度、三好に気が済むまで滞在している。

そして。。。

ーーーーーーーー

ここから先はちょっと長くなるから、本当に興味のある人だけ、下のページを覗いてみてほしいです。

この三好を感じ、さらには現地にも行けるイベント情報も書いてあります。

今回も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!もしよかったらtwitterで日常的に色々と発信していますので、そちらも覗いてみてください。

では!また!ヤーマン!

Text:岡勇樹(NPO法人Ubdobe代表理事)

Twitter:@uq_ubdobe

注目記事