オバマ大統領、今こそ核軍縮に取り組む時だ

あなたが行う取り組みとして新たに提案してほしいのは、多国間の枠組みで核軍縮プロセスを進展させるための世界サミットの開催だ。
Japanese women walk past the gutted A-bomb dome in Peace Memorial Park in Hiroshima, Japan August 6, 2003. REUTERS/Toshiyuki Aizawa/File Photo
Japanese women walk past the gutted A-bomb dome in Peace Memorial Park in Hiroshima, Japan August 6, 2003. REUTERS/Toshiyuki Aizawa/File Photo
Toshiyuki Aizawa / Reuters

拝啓

広島の爆心地を訪問する初のアメリカ大統領として、あなたはアメリカにとって歴史的な偉業を成し遂げるだろう。しかし同時に、それは人間的な意味でも偉業となるだろう。トルーマン大統領が原爆を投下する決断をしたことの意義を歴史家に議論させるようにしたのは正しい。現状、過去の歴史を書き換えることはできないからだ。しかし、あなたは今でも核兵器の重大性と危険性についての論争に関して要の立場にある。この論争は、私たちの将来を左右するものだ。

あなたは2009年にプラハにて、核兵器のない世界を作ると演説された。2013年にはベルリンにて「正義のある平和とは、核兵器のない世界の安全を希求することだ」と述べられた。1年前にはイランと協定を結び、反核拡散で決定的な成功を収められた。

しかし核軍縮についてはどうだろうか? NPT(核拡散防止条約)体制は、核保有国の兵器削減への明確なコミットなしでは機能しない。新戦略兵器削減条約調印後、ロシアとの対話は進展していない。他方で、アメリカとその同盟国は積極的に核兵器の近代化を進め、緊張が高まりつつある。忘れてはならないのは、いまの核兵器がかつて広島と長崎に投下されたリトル・ボーイやファット・マンといった爆弾よりもはるかに強力な破壊力を持っていることだ。過去に前例がないほどの殺傷能力がある。

広島の平和記念公園を訪問する数時間前、あなたは伊勢志摩で開かれるG7サミットに参加する。そこではフランスのオランド大統領やイギリスのキャメロン首相と同席される。できればその機会を利用して、アメリカと並んで核兵器を保有する両国の代表と、核軍縮問題について対処してほしい。

そのような望みを抱くのは、あなたが今年、核セキュリティ・サミットを主催したという事実を高く評価しているからだ。その取り組みは「核脅威イニシアティブ」(NTI)と、私が代表を務めている「Initiatives pour le Désarmement Nucléaire(核軍縮のためのイニシアチブ)」による支援を受けたものだった。

あなたが行う取り組みとして新たに提案してほしいのは、多国間の枠組みで核軍縮プロセスを進展させるための世界サミットの開催だ。おそらくは次の国連総会で、アメリカは核兵器を禁止する条約準備の提案決議に賛同してもらえるだろう。

私がみるところ、これこそ、あなたがベルリンで語った「正義のある世界平和」を作る手段だと思っている。

敬具

ポール・キレス(前フランス国防大臣)

ハフポストフランス版に掲載された記事の英訳を翻訳しました

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