小中学校の勉強って何の役に立つの?そんな疑問に答える「コペルニクスの学校」

今回はこの「コペルニクスの学校」を開設しようと思ったきっかけや、コンテンツ内容について尾崎さんに語っていただきました。

「子どもの力をビジネスに!」をモットーに数々のプロジェクトや講演を行っている尾崎えり子さん

そんな尾崎さんがこの度「コペルニクスの学校」を開設した。

今回はこの「コペルニクスの学校」を開設しようと思ったきっかけや、コンテンツ内容について尾崎さんに語っていただきました。

「学校」で学ぶことを「社会」とリンクづけることで、学びのモチベーションが格段に上がる

--------なぜコペルニクスの学校を始めようと思ったのですか?

尾崎 今まで子どもたちの力で企業や自治体を成長させるプロジェクトを多く行ってきました。

そのプロジェクトの中で彼らが「ああ、もっと国語をちゃんと勉強しとけば、いいキャッチコピーが浮かんだのに......」「あ!原価の計算、数学でやった!!」と、『世の中』と『学校の勉強』が接続した瞬間、めちゃくちゃ嬉しそうな顔をするんです。

それを見て「学校の勉強なんて大人になって使わない」と思っている多くの子どもたちの考えをコペルニクス的転回(180度考え方を変える)する、「コペルニクスの学校」を始めようと思いました。

--------小、中学校で学ぶことの中に、ビジネスに活かせるアイデアがたくさんあるという考えはもともとあったんですか?

尾崎 はい、ありました。

もともと子どもたちのひらめきや発想をビジネスに活かせれば企業はもっと成長するということは信じていました。

なので「子どもたちの学んでいることがどのようにしてビジネスで使えるのか」ということをもっと具体的に提示したかったんです。

「世の中」と「学校の勉強」をより具体的に接続することによって学びのモチベーションは格段に上がる。

「何のために勉強をするか分からない」とモヤモヤ過ごす10代と、「社会で使える」と理解して過ごす10代とでは、大人になったときの能力は全然違うものになるんじゃないかなと思うんです。

--------「コペルニクスの学校」の具体的な活動を教えてください。

尾崎 大きく分けて以下の3つになります。

こちらはサイトコンテンツで、算数(数学)、理科、社会など実際の教科ごとに実社会でどのように役立つか事例をあげながら解説しています。

このコンテンツはこれからどんどん更新していく予定です。

実際にビジネスなどに子どもの力を活かした事例集になります。

企業や行政に対して子どもたちの力がどのように発揮され、どんな成果を上げたのかということを、実際に私が関わったプロジェクトを例に紹介しています。

私が直接学校へ伺って授業や講演を行ったときの様子を紹介しています。

実際に子どもたちと会って目を見て話し、彼らの世界観を広げられるような授業や講演を行っています。

今回はその中の「コペルニクスの教科書」から「算数(数学)」「理科」「社会」それぞれの教科について内容を紹介していただきました。

中1数学『絶対値』

絶対値とは数直線上における原点からの距離のこと。+や-の符号を除いた数値になる。

例えば「+5」と「-5」ではどちらも絶対値は「5」である。

「+5」から「-5」までの数直線上で見れば「+5」と「-5」はどちらも最先端である。

【この考え方がLINKするかも!?】

人口減少が進む「過疎地域」である島根県雲南市。

普通、人口減少というのはネガティブな情報として受け取られがちだが、雲南市は自ら下記のように名乗ることでアクティブな若者を集め、地方最先端のチャレンジが進んでいます。

「日本の25年先を行く課題先進地"島根県雲南市"」

中3理科『摩擦力』

摩擦力とはある物体を持ち上げないで横に引いたり押したりして動かそうとするときに、ある物体と床の面との間に働く「物体が動くのをさまたげる力」のこと。

「地面をなめらかにしたり」「斜面を作ったり」することで摩擦力を小さくすることができる。

【この考え方がLINKするかも!?】

人の気持ちも物体と同じで強引に引っ張って動かそうとしてもなかなか変わりません。

力を強くすればするほど相手も「妨げよう」という力が強くなります。ではどうすれば良いのか?

例:「友だちが掃除当番の仕事をやってくれない」場合の解決方法

①地面をなめらかにする(=言い方を変えてみる)

自分が怒っている状態で「何してんの!?掃除しなよ!!」と言っては、言葉にとげがあり、相手の気持ちもささくれます。

互いの気持ちが荒れ、下がボコボコの状態になるとますます動きにくくなります。

相手を動かしやすくするためには、こちらの気持ちをまず落ち着けます。そして、言葉もできるだけトゲのないように気をつけます。

「○○ちゃんの気持ちもわかるよ。早く帰りたいし、面倒だよね。私もそうだよ。でもさ、案外話ながらやると楽しいし、私も○○ちゃんと話ながらしたいから、一緒にやろうよ」

と言うと、下がなめらかになり、さらに「私が○○したいの」と言う主語を自分にした言葉「魔法の油」を引くことで相手がスーッと動きやすくなります。

②斜面を作る(=少し環境や条件を変える)

斜面の時も摩擦力は小さくなります。日常(平ら)な状態を非日常(少し斜め)にしてあげると相手は動きやすくなります。

「今日はみんなの好きな音楽かけながら掃除しようと思ってるんだけど!」「今日一番きれいに窓拭いた人は床拭き免除ゲームする」など。

中学社会『二毛作』

二毛作とは同一耕地に同一年度内に2種類の作物を異なった時期に栽培する方法。

【この考え方がLINKするかも!?】

同じ場所で2つの違うビジネスを行うことで、場所が生み出す生産性が飛躍的にアップします。

例えば、昼はカフェ、夜は居酒屋。夏はマウンテンバイクの会場、冬はスキー場など、1つの場所を「時間」や「季節」で使い方を変え、2つの事業を成り立たせている「二毛作ビジネス」は現代にもあります。

「桶狭間の戦い」と「ラグビー日本VSサモア戦」は似ている

--------ビジネス以外でもコペルニクスの教科書の考え方は応用できますか?

尾崎 はい、最近のニュースも教科書と接続できます。

例えば、歴史的勝利をおさめたラグビーの日本VS南アフリカ。

この戦いは「桶狭間の戦い」に非常によく似ています。

中学社会『桶狭間の戦い』

三河と尾張の国境地帯をめぐり、2万5000もの大軍を率いる今川義元と、わずか3000の兵しかいない織田信長が戦った結果、桶狭間で織田信長が今川義元を討ち取りました。勝因は相手が油断している隙を狙った「奇襲攻撃」と言われています。

日本と南アフリカも、力の差はまさに織田と今川ほど圧倒的なものがありました。

だからこそ日本は攻められたら守ることができないので、積極的な攻撃に出ました。普段使わないサインを使ったり、足元にばかりボールを回し、敵の高さを封じたり、一気にみんなで攻め込んだりしたんです。

もし、あの試合が雨の中で行われていたら、「桶狭間の戦い」そのものだったと思いますよ(笑)。

(2015年11月1日「QREATORS」より転載)

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