「二次障がいは運命ではない」車いすの可能性

中心メンバーである医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長である佐々木淳先生による、山崎先生の講演のまとめをご紹介します。

6月22日に提出いたしました文書質問趣意書全109問について、担当部局との確認作業がようやく本日18時に終わりました。延べ100人近い担当課長の皆様と丁々発止、時に議論しながら、双方世のため人のためなにより都民のためというクオリティの高い「作品」となりました。公表されますのは、第三回定例会初日となりますので、ぜひお楽しみにしてください。質問作成過程で、ぶつかった、あるいは発見した諸課題につきましては、順次お知らせしてまいります。

先週6月25日に、元日本テレビのニュースキャスター・記者の町亞聖 さんが主催される福祉・医療業界で活躍する皆様が集まる「在宅医療カレッジ」の勉強会に参加してきました。

テーマは「車いすシーティングの可能性」

講師は、留学中高校生の頃転落事故で下半身麻痺となり米国のリハビリそしてシーティングと出会い、日本の車いすのあり方を変えていこうとポシティブな活動をされている山崎泰広先生でした。

シーティングとは「長時間座位を続ける方の心身機能や生活状況を考慮し、良好な座位姿勢が確保できるように、車椅子や椅子などを調整すること」。

中心メンバーである医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長である佐々木淳先生による、山崎先生の講演のまとめをご紹介します。

「シーティングの目的は2つ

1.二次障害の予防

2.残存機能の向上

まずは

1.二次障害の予防

変形、拘縮、脱臼、褥瘡、異常な筋緊張、呼吸器・消化器の異常

【姿勢保持における世界標準の考え方〕

障害者の二次障害は運命ではない。

障害があることで正しい姿勢が保持できなくなり、その悪い姿勢が二次障害を起こす。したがって、悪い姿勢を改善して、良い姿勢を保つことで、多くの二次障害が防止できる。

二次障害が生じていたら、それはこれまでとっていた悪い姿勢が原因。

【二次障害の防止のために不可欠なこと】

・正しい姿勢の確立→シーティングとポスチャーケア(姿勢管理)

・酷使しないこと→バリアフリー環境と適切な道具の活用

・早い時期に開始すること!これが一番大切

二次障害は治療よりも予防が重要。

【障害者は重力に負けてしまう】

健常者は痛みや不快感によって無意識に姿勢を変更する。

障害者はそれに気づかない、あるいは姿勢を変更できない。

長時間悪い姿勢を取ることで、変形や褥瘡などの問題が生じる。

姿勢を保つための筋肉が弱い、失われている障害者には正常な筋肉の代わりに外部からの支持が必要になる。

有害な姿勢・・・身体に害を及ぼす姿勢。

(destructive posture)

支持された姿勢・・・害を受けないように指示された姿勢

(supported posture)

姿勢を考えるときは、その人の姿勢が、有害な姿勢なのか、支持された姿勢なのかを意識する。

車いすの設定とシーティング機器によって重力の影響を受けない姿勢を取ることは可能。

健常者には問題のない姿勢が、障害者にとっては変形、脱臼、拘縮などの原因になる。健常者と同じつもりで接してはダメ。

姿勢を保つことのできない車いす使用者は、できるだけ早期にシーティングを導入する。

高齢だから、障害があるから、とあきらめることはない。」

シーティング前と後では著しく姿勢も違い、明らかに当事者が楽そうであることが一目瞭然。

ことに山崎先生の言葉の中で一番心に残ったのは、「二次障がいは運命ではない」ということ。

誕生して20代で亡くなるまで障がいがあったことから、姿勢を保つことができずに背骨が湾曲し寿命を縮めてしまった悲しい事例を曲がっていく脊髄レントゲン写真で解説紹介しながらその言葉を語られました。

著書も書いているのでぜひ、障がいをお持ちのお子さんの保護者の皆様には一度読んでいただきたい!一冊です。

シーティングにより適切な姿勢を保つことで、車いすでの生活が格段に楽になり、横になっているよりも生活のクオリティもあがって、介護者の負担も劇的に軽減するというもの。

緊張が強いお子さんがシーティングではじめて真ん前をみて座る事ができた事例は、おかあさんを21年ではじめて前から見られたという感動的なものでした。

車いすを快適な生活の場としての「道具」として使いこなす。目からウロコの「シーティング」の考え方、手法はまことに新鮮、斬新、納得。日本の自立支援、介護軽減へむけて新しい扉が開く予感がします。

翌日26日、私が今期所属します東京都の外郭団体公益法人東京都福祉保健財団評議会がありました。はからずも、この財団では福祉用具の利用に関する支援事業を展開していますことから、事業内容を確認しました。事業者・関係者を集めて最新用具・技術などの情報収集などしているとのことで、シーティングの導入の検討などを要望しました。

評議会が終わったあと担当部長にシーティングのことを尋ねたら知らなかったようで、行政側の研究も含め今後の普及が望まれます。私も及ばずながら、新しい技術として広めてまいりたいと思いました。ただし、意欲有る全国の特別支援学校の先生方からはオファーがひっきりなしとのことで、そこは福音でありました。

【おまけ】

写真左から、小児科の訪問医療で活躍される戸谷剛先生、町亞聖学長、講師の山崎康広先生

山崎先生はポシティブシンキング、そしてアイデアマン!すっかり意気投合しました。都内最大級の肢体不自由児が学ぶ鹿本学園がある江戸川区としてはぜひ一度おいでいただきたいといころ!

戸谷先生はクリニックは墨田区であることから、江戸川区の障がい児の診療もしてくださっています。

そして何より、久々の町亞聖さん。記者時代に江戸川区の待機児童問題で、江戸川ワークマム代表であったお姐のところに取材においで頂いて以来再会。お互いまだ若かった…。30代でしたねーー(遠い目)

それぞれのフィールドで走り続け、こうして再び出会えたことが本当に嬉しかったです。

昨日は、児童養護施設退所者のサポートをするNPOゆずりは代表高橋亜美さんところへ再訪、2時間じっくりと児童養護の今をヒアリングして最新情報を更新おります。

たくさん皆様に伝えたいことがあるのですが追いつきません!

おときた駿都議を見習いたいが…なかなか^^;「)

都議会議員任期も今日で折り返し地点の2年が過ぎ三年目突入となりましたことから、今後は町に出て直接お話しをさせていただきますのでどこかで見かけたら声をかけてくださいね♪

(2015年7月1日「上田令子のお姐が行く!」より転載)

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