「連合エコライフ21」 新たなる大作戦!?その1~「連合エコライフ21」改良のポイント~

連合は、2018年度「連合エコライフ21」運動のパワーアップに乗り出している。
連合エコライフ21
連合エコライフ21

今年の夏は、日本だけでなく世界各地が異常気象とも言われる酷暑や豪雨に見舞われた。あらためて地球環境に危機感を抱いた人も多かったのではないだろうか。

実は、労働組合が環境問題に取り組む重要性は、ますます高まっている。2016年に気候変動枠組条約締約国による「パリ協定」が発効し、日本政府は「二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を2030年度に2013年度比で26%削減する」という目標達成に向けて、オフィス・家庭部門での排出を「4割削減する」ことを求めている。また、2015年に決定された「国連 持続可能な開発目標(SDGs)」でも気候変動対策や資源に関わる目標を掲げ、そこでも労働組合の貢献が期待されている。

そこで、その運動の一環として、連合がパワーアップをはかろうとしているのが、「連合エコライフ21」だ。自らのライフスタイルを見直し、環境問題の解決に向けた自主的・積極的な行動につなげていこうと20年前にスタートしたものだが、運動強化に向けた課題を探ろうと、昨年、連合がアンケートを実施。その結果を踏まえ、2018年度の取り組みとして、重点化・見える化、連合「労働組合のエコ活動PRアワード」の創設など新基軸を打ち出した。運動の飛躍に向けて、アンケートの結果から現状と課題を整理し、最新の「環境」をめぐる動向を踏まえて労働組合が取り組む意義を2回に渡り深く掘り下げる。

「環境の取り組みに関するアンケート」の結果から

連合が2017年4〜8月に実施した「環境の取り組みに関するアンケート」は、組合員約6000名および全構成組織・全地方連合会の担当者を対象としている。目的は、「連合エコライフ21」の認知度、取り組み状況と各組織における「環境への取り組み」の内容、要望について聴取し、今後の運動に活かすこと。アンケートからは、組合員の環境問題への関心は高く、省エネ・省資源の取り組みは根づいているが、一方で「連合エコライフ21」運動そのものの認知度は低く、ツールなども十分活用されていない実態が見えてきた。

身近なところから、できるところから

まず、「連合エコライフ21」とは何か、というところからおさらいしておこう。

それは1998年、労働組合の環境問題への取り組みの一環として、ライフスタイルを「身近なところから、できるところから」見直そうという運動として始まった。1997年に京都で国連気候変更枠組条約第3回締約国会議(COP3)が開催され、温室効果ガス排出量の削減目標を数値化した「京都議定書」が採択されたことを受けたものだ。1999年には、「連合環境指針」を策定し、定期的に「環境フォーラム」を開催するとともに、2002年には、節電・節水、ゴミ減量、エコバック利用などの「環境にやさしい10の生活」を提起。2012年には「連合エコ大賞」を創設して好事例の共有化をはかり、ウェブサイトでの情報・啓発ツール提供にも力を入れてきた。

そして現在、連合エコライフ21は、「パリ協定」の目標やSDGsの達成に向けて、①地球環境保全に向けた取り組み(「環境にやさしい12の生活」)、②電力受給対策(ピークカットアクション・環境家計簿)、③連合の森づくり・清掃活動を主な柱として取り組んでいる。

では、アンケート結果を見ていこう。

組合員の地球環境問題に対する関心は高く、約6割が「環境保全は経済発展につながる、経済発展を阻害しない」と考え、その対策や取り組みを好意的にとらえている。また、所属する労働組合の9割以上で環境に関する何らかの活動が取り組まれており、86.5%の組合員がそれに「参加したい」と回答している。

担当者に日常的な取り組みを聞いたところ、「節電・省エネ」のほか、「ペットボトルキャップ回収」「環境に取り組む他団体との連携」「地域清掃活動(クリーン・キャンペーン)」や「森づくり・植林活動」が上位に挙がった。

職場では節電・省資源などの取り組みがごく当たり前のこととして定着していることがわかった。ただし、「環境にやさしい12の生活」、「ピークカットアクション(オフィス版)」の項目にあてはめると、濃淡があることも見えてきた。

構成組織・地方連合会の担当者に今後の課題を聞いたところ、環境は一部の活動としてとらえられ、他の重要課題が優先されがちな現状があることがわかった。また、組合員に「労働組合が取り組む意義」を伝えることが難しいとも感じていた。自由記入欄には、①好事例や画期的な取り組みを取り上げて広く紹介してほしい、②取り組んだ結果、どれだけの効果を生んだのかを知りたい、③なぜこれを取り組むのか、その背景や政策的裏付けをあわせて明示してほしいという声が多数寄せられた。

キーワードは「重点化」と「見える化」

この結果を受けて、連合は、2018年度「連合エコライフ21」運動のパワーアップに乗り出している。

1つは、運動の「重点化」と「見える化」だ。まず、「環境にやさしい12の生活」では、①環境に配慮した製品を選択しよう、②国産および身近な地域で作られた食品や製品を選ぼうの2項目、「ピークカットアクション」では、①省エネモードに設定し、未使用時には電源をこまめに切る、②プリンター等の共有機器の使用台数を必要最小限にする、③最終退出者は共有機器の主電源を切って退社する、という3項目を重点化して取り組み、その成果の「見える化」に向けた検討を進める。

2つめは、労働組合独自の取り組みだけでなく、労使間の協力によるものも含め、好事例の共有化をはかる。従来の「連合エコ大賞」は「連合『労働組合のエコ活動PRアワード』」に転換し、「運動の広がり」に着目した組織内広報のコンテストとして実施する。

3つめは、なぜ労働組合が環境問題に取り組むのか、最新の情勢を踏まえて、あらためてその背景や目的・意義をわかりやすく発信していく。

※この記事は、連合が企画・編集する「月刊連合10月号」の記事をWEB用に再編集したものです。