9月17日(日)に名古屋で開催する アイドル×=?
今年の月日(木・祝)に、のレインボーウィークの一環として東京で行った「アイドル×=?」イベントの名古屋出張版として、今回は月日土〜日日の「レインボーウィーク」の一環として開催します。
イベントの開催経緯や詳細については、こちらをご覧ください。
9月17日(日)に控えるイベントに向けて、今回の共同主催者である私りぃな(@)とレロ()さんで、「アイドル×」について語り合いました。
レロさんのインタビュー記事はこちらをご覧ください
この対談記事の前編はこちらをご覧ください
この対談記事をきっかけにイベント内での参加者同士の意見交換がより活発になってくれたら嬉しいです。
レズビアンが男性アイドルを応援したいと思う気持ちとは
レロ
「私は女性アイドルのオタクを長くしていましたが、男性アイドルの関ジャニ も好きです。こう話した時、レズビアン(女性同性愛者)の友達に『レズビアンなのに男性のアイドルが好きってどういう気持ち?』と何度か聞かれたことがあります。確かに、女性が好きという自分の性的指向とは異なる人を応援しているんだもんね。」
りぃな
「そういう時ってどのように返事していますか?私も自分のセクシュアリティを明かしてある友人に、男性アイドルが好きという話をするととても困惑した表情をされます。」
レロ
「私はよく『異性愛男性が嵐を好きになる気持ちと同じだと思う』と答えていますね。男性でも、同性である嵐のメンバーの関係性について『いいよね』『好き』と言っている人は結構いますよね。そういう感じで、アイドルが『昔からの仲間と一緒に仲良く頑張っている姿』を見ることを楽しんで応援している。」
りぃな
「それは私が嵐を好きになって理由ともとても近いかもしれないです。『嵐みたいに昔から幼なじみのように過ごしてきた仲間と、大人になってからもずっと仲良くしているってとても理想的で素敵な関係性だな』と思っていました。そして『私もそういう関係性の友達を手に入れたい』って。」
レロ
「アイドルってよく性愛とか恋愛の文脈に置かれるけれど、友達とか身近な関係性の理想像としての見方もあると思います。
例えばアイドルのといっても、単に同性愛を指すだけじゃなくて、友情の延長として扱う見方もある。『こういう関係性って素敵だよね』という感覚。これは、女性アイドルの百合営業にも近いことが言えると思います。
これらを同性愛表象として捉える人もいるし、友情の延長として捉える人もいるし、という幅の広さがあるのが、アイドルオタクのコミュニティの居心地の良さの原因だったりするかもしれないです。」
りぃな
「確かにそうですね。私は、当事者コミュニティに入ってから、男性アイドルのオタクであるということを言い出せなくなってしまいました。
でも、名古屋あおぞら部( )を始めてみたら参加者のセクシュアリティが混在していて、セクシュアリティに関係なく自分の好きなことを話す人たちにたくさん出会って、自分も話せるようになってきました。参加者たちから『レズビアンでも男性アイドルを好きって言っていいじゃん』って思わせてもらえました。
そしてそこで、『アイドルが好き=そのアイドルと付き合いたい』ってだけじゃない、って気づかされましたね。」
名古屋あおぞら部の様子
レロ
「そうですね。アイドルを応援し続けて、見続けることで、自分のセクシュアリティの幅に気づくきっかけにもなることがある と思います。
自分のことを異性愛女性だって思っている人が女性アイドルのオタクになってアイドルの現場(アイドルのライブ会場や握手会会場、ファン同士の交流の場など)に行って、女性アイドルの百合(女性同士の恋愛)とかに親しむうちに、女性同士でお付き合いするようになっていた、という例を何人も見てきました。
それって不思議なことではないし、アイドルオタクのコミュニティの中では、わりとよくある話なのではないかと思います。
コミュニティの外から見たら、『この前まで彼氏いたのに、急に彼女作っている』って変なことなのかもしれないし、本人もコミュニティの外の人にはなかなか明かせないのかもしれないけれど、でも、アイドルオタクのコミュニティの中には自然と居場所がある。」
アイドルを通じて考え直すセクシュアリティ
りぃな
「女性アイドルが男装することもすごく多いし、男性アイドルが女装することもすごく多いですよね。それに男装・女装まではいかなくても、アイドルの衣装って『男らしさ』『女らしさ』に縛られていないことがある気がします。
そういったように表象的な性をとても自由にしているアイドルを見ている内に、私は自分のことを女の人が恋愛対象のレズビアンだって思っていたけれど、『私が好きな女の人の女って何だろう?何を指して女の人って言っているのだろう?』って改めて考えさせられました。」
レロ
「それは私が自分のことをレズビアンって言い切らなくなった理由でもありますね。『将来どうなるかわからないから自分のセクシュアリティを今の時点で決めつけたくない』っていう理由もあるけれど、それ以上に、以前応援していた男性アイドルが女性的な表象(髪が長いとか、スカートを着用していたとか)をしていた時に、初めて男性に『萌える』と思ったことがありますね。性的指向において自分が念頭に置いている〈性〉について、身体の性だけでなくて表象としての性もあるな、って思ってから自分のことをレズビアンって言い切らなくなりました。」
りぃな
「そういえば、女の子として生きてきて、男性アイドルを応援するようになってから『彼が好き』って気持ちが『彼のようになりたい』って気持ちだったことに気づいて、自分がトランスジェンダーかもしれないと思い始めたって話は周りで聞いたことがありますね。
ファッション的に『彼のような見た目になりたい』ではなく、身体的な性も含めて『彼のような男になりたい』という気持ちになったと。『アイドルを通じて自分の気持ちに気づいた』のか『アイドルを通じて自分の気持ちが変化した』のかは、本人にもわからないかもしれないですが、そういう例もありますね。」
レロ
「りぃなさんは、女性アイドルが好きだったことはないんですか?」
りぃな
「ありましたよ!女性アイドルが多数出演していたドラマを見て好きになったメンバーがいました。彼女は、主人公の女の子を守る立場の役を男装っぽい見た目で演じていました。そして同時期に、とても可愛らしい、いわゆる女の子っぽい見た目のメンバーとカップル的な売り方をよくされていましたね。いわゆる百合営業というものでした。」
レロ
「かっこいい男の子っぽい子と可愛らしい女の子っぽい子のカップル。典型的なボイフェムカップル(男らしい感じの女性と、女らしい感じの女性の、女性同士のカップル)のような感じですね。」
りぃな
「当時の私は、その女性アイドルに対して自分が『男らしい女性』であることを求めていたのか『男性らしさ』を求めていたのかわかっていなくて、自分のセクシュアリティには気づききれていなかったですね。ただ、その直後にその女性アイドルが週刊誌で男性との熱愛を報じられたのを知って、『あの子は男の人が好きだったんだ』『メンバーの女性アイドルとのカップルは完全に演技だったんだ』ととてもショックを受けた記憶があります。
その時に初めて、自分は『女性を守る強さを持っている女性』である彼女が好きだったんだと気づきました。」
『性別にとらわれない愛』とは
レロ
「最近のに関する報道の中でよく『性別にとらわれない愛』といった表現が使われているけれど、特にとに関しては、切実に性別にとらわれている部分があるよね。」
りぃな
「確かに。性別にとらわれているし、『~らしさ』とか異性愛主義の再生産をしているときもあるように感じますね。『男なら~すべき』っていうのもあるし、『ゲイなら~すべき』みたいなものもあるし。」
レロ
「どうしても性別という概念がある以上そこにこだわってしまうのは、ある程度仕方がないことなのかなと思います。けれど、そういった点に対して、の問題に関わる人たちはあまり目を向けていない気がします。特に近年は。」
レロ
「などの多様な性を可視化させて、それらが社会的に認められるようにしていくためには、『いろんな性がある』とか『性別にとらわれない愛』という言い方を多用する気持ちも分かる。確かに、実際いまの社会に多くいる『性について考える経験や機会のなかったシスジェンダー異性愛者の人』に対して投げかける表現としては、とても有効なものだと思います。
けれど、その一方で、例えば同性愛者には『女性しか』好きになれないとか、『男性しか』好きになれないという感覚を持つ人も多くて、これは一周回って相当性にとらわれた感覚だな、と。それが悪いということではなくて、いくらそれが構造的に性別二元論にとらわれた感覚だと外から指摘されたとしても、そうした感覚が自分の中に厳然とあることは事実ですよね。私も、基本的には『女性しか』好きになれなさそうだなという感覚が自分の中にあります。
良い悪いということではなくて、こういったことについて考える機会や流れがこれまで、社会の中にも当事者のコミュニティにもあまりなかった。だからこそ、アイドルを通じて考える、というのも良いかもしれないですね。」
りぃな
「自分はどういう表象の人をこれまで好きになってきたんだろうとか、好きになる時にその人の身体の性を重視しているのか、性自認を重視しているのか、仕草とかその他の性を重視しているのかとか。
自分は何を見て好きになったりするのか、それを改めて考えるきっかけ にアイドルが適しているのかもしれないですね。」
レロ
「本当にこれは人による問題だと思うし、これを知ることが自分の欲望をきちんとまなざすことに繋がるのではないかな、と思います。」
9月17日(日)のイベントに向けて
レロ
「とにかく多様なアイドルオタクの人に来てほしいです。オタクでなくても、アイドル文化にちょっとでも興味関心を持っている人にはぜひ来てほしいです。参加者のセクシュアリティは不問なので、シスジェンダー異性愛の方も関心さえあればぜひ!」
りぃな
「アイドルと言っても本当にたくさんいますからね。
次元も次元も次元も、女性アイドルも男性アイドルもその他の性のアイドルも。
参加者同士で自分の好きなアイドルやアイドル文化について語り合うことで、自分のセクシュアリティとか色んなことを改めて考えるきっかけにしてもらえたら嬉しいですね。」
[日時]2017年9月17日(日) 13:30〜16:30(開場 13:00)
[場所]矢田コミュニティセンター 2階大会議室(ナゴヤドーム前矢田駅から徒歩5分)
[主催]アイドルとセクシュアリティ研究会(仮)Twitter @idol_sexuality
[ゲスト]LGBTアイドルグループ「NSM=」 (NAGOYA SEXUAL MINORITY EQUAL)より、樹梨杏さん(リーダー)・いづみさん (メンバーは現時点での予定です。追加や変更がある場合があります)
[参加費]500円(当日会場受付にて現金支払)
[参加方法]イベント前日までにこちらのサイトで参加登録をお願いいたします http://twvt.me/idollgbtnagoya