ホリエモンのブラック企業「辞めれば」発言は理解できるか?

起業をしてきた人にしてみれば、起業が当たり前で、それを怖がる人に対して、「どうして」と思うこともあるかもしれません。会社勤めをしている人にしてみれば、会社勤めの欠点ばかり批判するような意見は「世間知らず」として批判したくなるのかもしれません。

『ガジェット通信』が掲載していた「ホリエモン『嫌だと思ったら辞めればいいのでは?辞めるの自由よん』Twitterでブラック企業について白熱の論争」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

6月22日にツイッターで、ホリエモンこと堀江貴文さんと、ネットユーザーの「ブラック企業」についてのやりとりをまとめた記事です。

ある人がブラック企業についての意見を求めたところ、ホリエモンは 「嫌だと思ったら辞めればいいのでは?辞めるの自由よん」 と返答しました。

それに対し、「やめさせないブラックがあるから問題なのでは?」とか、「今やめても次の就職先が見つからず仕方なく勤めている場合はどうなのでしょうか?」という質問に対しては、「会社行かなきゃいいじゃん。起業すりゃいいじゃん」 と返信したそうです。

「その後も熱い議論は続いた」とありますが、基本的には、「ホリエモンの主張を受け入れられない者も多く、議論は平行線をたどったようだ」としております。

2 起業

多分こうした議論は平行線しかたどらないと思います。これまで起業したり、基本的に一人で金を稼いできたホリエモンと、会社勤めしかしたことがない人は基本的な価値観というか、出発点からして異なっているので、当然こうなると思います。

人は基本的に自分が経験したことを土台に生きていくしかありません。そのため、会社員にしてみてみれば、いままで会社という中でしか生活してこなかったわけで、それがいきなり起業してみろと言われても考えたこともなければ、恐れを抱くのも当然かと思います(日本の大学と「身分制度」の呪縛)。

いつもお世話になっているBLOGOSでは、起業を勧めるブログを書かれる方がおられます。確かに会社勤めには「社畜」という言葉があるように、自分を殺して上司の命令をきいたりしなければなりませんし、同僚ともつきあいが必要だったり、顧客のわけのわからない要求も聞く必要があります。

そうしたことが我慢できない人にとっては、起業するなりして、自分の実力(腕、技能)だけで、金を稼ぐ世界を目指すという気持ちもわからないではありません(30代の就労の現実と「夢」)。

ただ、起業も当然楽な話ではなく、それこそ労基法の適用などはないので、土日の休みもなければ、残業代もありません。何をするのも自由ですが、仕事がなければ(入ってこなければ)、それこそ飢え死にしかねません(プロとボランティアと仕事の質)。

3 両者の違い

基本的に人は自分のできることをするしかないわけで、人と同じことをしようとしてもできないことは沢山あります(例えば、ブログでも同じ題を与えられても書くことが皆違う様に、すごい人を真似しようとしても、とてもできるものではありません)。

起業をしてきた人にしてみれば、起業が当たり前で、それを怖がる人に対して、「どうして」と思うこともあるかもしれません。会社勤めをしている人にしてみれば、会社勤めの欠点ばかり批判するような意見は「世間知らず」として批判したくなるのかもしれません。

人は自分の経験則、価値観でしか物事を見れないわけで、どうしてもそれをはずれたものは批判したくなりがちです。ひどい時には、「わからない」と理解することを放棄してしまうこともあるかもしれません(3000円を払って飲み会に出る価値はあるのか?)。

ただ、一つの価値観だけに依存して生活していくのは、それが失敗したときなど、他に逃げ道がない等いろいろ危険なので、理解(共感、同意)する、しないは別にして、いろいろな価値観があることを知っておくのは悪いことではないと考えます。

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