山本太郎議員に対する脅迫と度量の広さ

私は、多様な言論を許容できること、それこそが本当の意味での豊かさでもあると思っていますので、今回の様に相手を脅かして、発言を封じるようなことは、絶対にすべきでないと考えます。

NHKニュース等によると、11月13日午前に、山本太郎参議院議員に刃渡りが9センチで折り畳み式の果物ナイフが入った封筒が届いたそうです。

また、封筒には、差出人として「日本民族独立解放戦線」の総裁と書かれてあり、「近日中に刺殺団を派遣します」という文面の手紙が入っていたということです。

1 天皇への手紙

山本議員の場合、天皇に手紙を手渡すという行動によって、いきなり時の人となったしまったわけですが、思うに彼はあまり深いことを考えて行動したというわけではないと考えます。

今回の行動をして、「平成の田中正造」という人もおりましたが、山本議員が田中正造を知っていたかどうかも疑問です。

「天皇」という「機関」がどういう働きをしているかも理解していなかった可能性があり、単に自分の知っている「偉い人」に会うからこの機会に位の認識しかなかったのではないかと考えています。

2 言論の自由

それが図らずも今回これだけ話題となってしまったわけで、私は以前書いたように彼の行為を擁護するつもりは毛頭ありません(山本議員の直訴と天皇の「中空構造」)。ただ、今回の様に脅迫まがいの行為を行うことについても賛成できません。

皇室絡みの事件では、やはり風流夢譚事件が最初に思いだされます。これは『中央公論』1960年12月号に掲載された深沢七郎氏の小説『風流夢譚』の中で、皇居が襲撃されたり、皇太子・皇太子妃が民衆に殺される描写があったことを受けて右翼を中心に抗議活動が起こった事件です。

結果、当時の中央公論社長宅に右翼団体に加入していた少年が面会を求め押しかけ、不在だった社長に代わって夫人に重傷を負わせ、家政婦を殺してしまいました。

以降、『中央公論』の編集方針もかなり変わっているわけですが、『中央公論』に限らず、この事件が出版(マスコミ)界に与えた影響はかなり大きいものがあるのではないかと、個人的には思っております。

3 自主規制

言論の自由が制限されるところ(中国などがその典型ですが)だと、後々の結果が怖いが故に、どうしても先に自主規制という形で安全な方に内容が誘導される傾向が出てきます(日中の責任感と言論の自由)。結果、自主規制という形で、当局が制限する以上の言論が制限されることとになりかねません。

「赤信号みんなで渡れば怖くない」ではありませんが、1人で政府に反対するから処罰されるという面もあり、多くの者が反対の声を挙げれば中国共産党も全てを処罰するのは難しいので、そうならない様に一罰百戒で、後は自主規制という形で押さえつけるしかないのが実態で、本当の問題はこの自主規制にあると考えます。

もちこん、現在の中国のこうした体制に不満を持つ人もいるわけですが、下手に反対すると、いろいろな建前を持ち出し、逮捕され、犯罪者にされてしまうわけですから(不正を追及する中国人記者も「同じ穴のむじな」?)、かなりの覚悟がないとできません。

実際問題、中国は高度経済成長を謳歌しており、仕事と収入があれば、それなりの暮らしができるわけですが、下手に政府に反対の声を挙げれば仕事も暮らしも無くなってしまいかねず、皆が反対するというのは、口で言うほど簡単なことではありません。

4 度量の違い

中国は自分で「大国」と自称するのであれば、もう少し度量の広いところを見せ付け、多少の批判も甘んじて受ける位の態度が有っても良いのではないかと思っておりますが、どうもそういうつもりはない様です。

確かに、高度経済成長にもいろいろ陰りが見え始めており、更に国内に問題は山積みで(天安門前の自動車事故で中国崩壊?日米安保崩壊?)となれば、そうした余裕がないというのもわかるのですが、やはりいろいろ思うところがあります。

そこで、目にした記事が『時事通信』の「陛下、山本太郎議員案じる」というもので、こうした度量の広さこそが日本の「余裕」というか、本当の意味での「先進国」たるゆえんかと思った次第です。

私は、多様な言論を許容できること、それこそが本当の意味での豊かさでもあると思っていますので(「在日」関連の2つのデモ)、今回の様に相手を脅かして、発言を封じるようなことは、絶対にすべきでないと考えます。

それに今回そうした行動を起こした方がどうした心情から行動を起こしたのかわかりませんが、もし右寄りの方であれば、彼らの最も敬愛する天皇陛下の心を煩わせ、最も唾棄すべき中国や韓国と同じようなことをしてしまっていることに思いを寄せるべきかと思います。

Protest against the change of Japan Security Policy

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