中国のためにアメリカに頼り、韓国が嫌いな日本

読売新聞社と米ギャラップ社と行った日米共同世論調査がいろいろ興味深かったので、これについて少し(『読売新聞』「日米関係『良い』55%に上昇、日本が米を逆転」)。

 読売新聞社と米ギャラップ社と行った日米共同世論調査がいろいろ興味深かったので、これについて少し(『読売新聞』「日米関係『良い』55%に上昇、日本が米を逆転」)。

1 アメリカとの関係

 「現在の日米関係が『良い』との答えは、日本で55%(前回2013年1月は50%)に上昇し、電話調査になった00年以降で最高とな」る一方、「『悪い』は21%(前回27%)に下が」りました。

 そして「米国で『良い』は48%(同52%)、『悪い』は13%(同9%)。『良い』は00年以降で初めて、日本が米国を上回った」そうです。

 記事ではこの要因として、「尖閣諸島を巡る中国との対立」を挙げており、「日本で日中関係が『悪い』とする人は87%(前回85%)で、00年以降で最も高くなった」ことを紹介しています。

 興味深いのは、「中国を『信頼していない』と答えた人は、・・米国では66%(同63%)」ですが、「米国で米中関係が『悪い』との答えは21%(同20%)にとどまっている」ことです。

2 韓国との関係

 電子版ではこれだけですが、紙の紙面で公表された部分は他にもある様で、『朝鮮日報』が同じ調査をもとに韓国に関する部分に焦点をあて記事にしています『韓国は信頼できない』72%、日本人の反韓感情が最悪に」)

 読売新聞と米ギャラップ社との調査として、「『韓国を信頼できない』と回答した日本人の比率が72%に達し、『信頼できる』という回答(16%)を圧倒した、と報じた。一方、同じ調査で、米国人は韓国を『信頼できる』という回答(57%)が『信頼できない』という回答(41%)を上回った」ことを紹介しています。

 他にも「日本人が挙げた『軍事的な脅威になる国』は、中国(78%)、北朝鮮(74%)、韓国(45%)、ロシア(40%)の順とな」り、「韓国がロシアよりも軍事的脅威になるという調査結果は、2000年の調査開始以来初めて」ということも掲載されています。

 最後に「読売新聞は『中国とは尖閣諸島の領有権をめぐる対立、韓国とは歴史認識をめぐる問題などで、否定的な認識が高まっている』と指摘し」記事を終えています。

3 アメリカに対する「片思い」

 この2つの記事を読んで思ったのが、やはり日本では尖閣諸島の問題で中国との(軍事的)対立を心配すると、どうしてもアメリカに頼ろうとする人が出てくるという話です。

 片やアメリカは別に今までとおりですし、中国を信用していないものの(おそらく知的所有権問題や人権問題などが原因でしょう)、本気で中国と事を構えるつもりはないことが見て取れます。

 結果として、日本のアメリカに対する「片思い」的傾向がより顕著になってしまっている様な気がします(日本のアメリカに対する片思いとアメリカの無関心)。

 冷戦時代、(敗戦というの劣等感もあったでしょうが)ソ連への脅威から日本はアメリカに対し同じような片思いを抱いており、当時はアメリカも自分のブロック圏をつくるという目的のために容認していた面もあります。

 しかし、時代が変わって(冷戦が終了して)、アメリカでは既に国内回帰が進んでいるのに、日本がかつての冷戦時代と同じ同じ発想でアメリカに頼ろうとしている様で、何とも言えない事態になってしまっています。

 中国ではパワーポリティクス的発想(冷戦時代の力による発想)が強いので、現在は中国とアメリカという二大国の争いと本気で思っており、その際日本はアメリカの手先としていうことを聞いているだけと考える傾向がありますが(日本はアメリカがいるから、中国に対し強硬な態度を取っている?)、いろいろな意味で御免こうむりたい発想です。

4 韓国との関係

 日本人が韓国に対して、今回の結果のような感情を持つようになったのは、ある意味韓国の自業自得ではないかと思っています。

 竹島という領土問題がクローズアップされるようになったのも、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の、竹島上陸問題がきっかけと考えます(竹島問題を抗議する韓国の自業自得)。

 日韓関係が悪化した結果だけではないでしょうが、貿易などで韓国企業に悪影響がでているのも全く無関係とはいえない事態となっております(嫌韓によるマッコリの輸入減と企業の論理)。

 それともう一つ面白かったのが、やはり韓国人もアメリカにどう思われているかを結構気にしてるという点です。ただ、ここはある意味日本と同じなので、あまり他国をどうこう言う資格はないのかもしれません。

(※この記事は、2013年12月18日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)

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