デヴィ夫人と「言論の自由」

『ハフィントンポスト』に「デヴィ夫人はなぜ『徹底控訴』なのか ブログ掲載の顔写真めぐって断言」という記事が掲載されており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

『ハフィントンポスト』に「デヴィ夫人はなぜ『徹底控訴』なのか ブログ掲載の顔写真めぐって断言」という記事が掲載されており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

1 記事の紹介

「ブログに無断で顔写真を掲載したとして、兵庫県・宝塚市の女性から1100万円の慰謝料などを求める訴訟を起こされ、きのう17日に神戸地裁から165万円の支払いを命じられたタレントのデヴィ夫人が18日、都内のイベントに出席し、控訴することを明らかにした」という記事です。

デヴィ夫人は「判決文を読んでいない」とした上で、以下の様に「釈明」したそうです。

(加害者の)母親と誤解されたと言われてますが、あの写真は母親とは書いていないし、彼女のことは一切触れてません。

(写真は)ネットに氾濫していて今も見ようと思えば見れる。誰でも使われていると思った。

あの方が母親とは思われないと思う。

私のことは関係なく何百回、何千回も使われていた写真なので、私が削除しても今も見れる。

それ以外にも「言論の自由という言葉もありますし、ブログは自分の日記。あまり規制がかかるのもどうかな」とも話していたそうです。

2 デヴィ夫人

正直私はデヴィ夫人については良い印象がありません。土台「デヴィ夫人」と称しておりますが、ホステスをしていた彼女がどのようにしてスカルノ大統領(当時)と知り合うことができたのかという話があります。

英語塾に通って英語を勉強し、パーティで運命的な「出会い」をしたと本人は言っているようですが、はたして本当にそうなのでしょうか。

私の好きな作家に故梶山季之がおり、彼の作品に『生贄』というのがあります。あくまで小説ですが、昨日書いた例のように(靖国参拝と『朝日新聞』(法律論と感情論)、デヴィ夫人に名誉棄損で訴えられ絶版となっております。

それに、彼女の発言をこれまでも聞いたり、見たりしたことがありますが、それにしても何か素晴らしいことをいったという印象はなく、殆ど記憶に残っていない状態というのが本当のところです。

3 彼女なりの理屈

それに今回の彼女の主張ですが、はっきりいって子供の言い訳と一緒で、「誰々がやっているからやった。」というもので、他の人も間違っているのに、自分だけが処罰されるのはおかしいという主張です。

それが通じるのなら、殺人や窃盗を犯した者が、「殺人(窃盗)をしたのに処罰されていないものは外にもいるから」といっているのと同じで、とても説得力があるとは思えません。

「戦争責任」について、日本だけが植民地を持っていたわけではない、他国への侵略は外の国もしていたという理屈を述べる方がおられますが、私はこれについてもとても説得力がある説明とは思っておりません。

ちなみに「慰安婦」についても同じような話はありますが、橋下大阪市長が行った会見で述べている様に、これをして事故正当化の理屈とするのはどうかという話です(橋下市長が慰安婦問題について会見した意義)。そして、日本だけが非難されるのはおかしいというのもその通りかと思います。

4 言論の自由

「ブログは自分の日記」として、「言論の自由」と言っておりますが、世間に公開されている段階で純粋に私的な「日記」とは異なることはいうまでもありません。

誰にも見せるつもりのない「日記」であれば、何を書いてもかまいませんが、広く世間に公開されているものなので、そうした理屈は通用するはずもなく、だからこそ炎上事件が起こり、書き込みで脅迫罪などが適用されるという話です。

公開するということはそれをして他の人(含む当時者)に見られるということを想定して発言を行うべきで(ツイッター炎上と発言基準)、昨日も「言論の自由」についていろいろ述べさせてもらいましたが、「言論の自由」だから何を話しても、何を書いても良い等ということはありません。

そして、同じことを述べても、個人的に知り合いに言うのと、テレビなどで不特定多数を相手に話すのでは効果が違うので、それによって受けなくてはならない責任(場合によっては処罰)が違うのは当然です。

5 最後に

そういう意味で、実際ブログで同じことを書いたとしても、全く無名の方が書くのと、テレビなどで名前の売れている人が書いたのとでは、世間に与える影響が違うわけで、その点でも彼女の理屈に説得力があるとは思えません。

つまり、彼女は普段自分自身の影響力を利用して仕事しているわけなので、それに伴う対価を払う必要があるというわけで、今回の事件もその1つだと思うのですが、彼女はそうは思っていないということでしょうか。

(2014年2月16日「政治学に関係するものらしきもの」より転載)

デビ夫人、女児出産

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