過疎により人口が1万人を切ったら、それはチャンスだ。

まちづくりや地域活性において、「コミュニティデザイン」「コンパクトシティ」「里山資本主義」などの提唱などがなされています。

まちづくりや地域活性において、「コミュニティデザイン」「コンパクトシティ」「里山資本主義」などの提唱などがなされています。

初回にはこのような記事を書きました。

「まちづくりをバージョンアップする覚悟はあるか」

とりわけ、過疎化や高齢化がより深刻になっている人口1万人未満ほどの規模のまちでは、どのような解決策が求められているでしょうか。

人口1万人未満の小規模市町村は全国の市町村のおおよそ4分の1。都道府県別にみると、北海道は1万人未満の市町村数が6割強と全国トップを誇っております。年齢区分では年少人口(0~14歳)と生産年齢人口(15~64歳)が少なく、老年人口(65歳以上)の割合がどの人口規模の市町村よりも一番多いまちです。

このようなまちでは前述の「コンパクトシティ」などが推進されていますが、課題は多く残されており、中心部に商業施設をつくったものの入居するテナントが少なかったりするようです。

リソースの面では「出身者」が非常に重要になると私は考えています。

■人口1万人未満の町の出身者のポテンシャル

出身者は「向上心」「学習意欲」「社交性」をもった人たちが非常に多いと思います。とくに東京などの大都市へ出た人はその傾向が非常に強いですね。新しいものを受け入れ、常に学び、柔軟に取り入れ、健全な反骨心をもっています。

さらにポイントとしては、地域の要職(議員、自営業、一次産業など)の子どもが多い特徴があります。つまり、地域の運営を大きく左右する意思決定権に接触できる、ということです。ですので、子・孫世代から要職に就いている世代へプッシュできるチャネルをもっています。

各出身者らの力を集結させるため、つながりをつくるために大きな役割を果たすのが「中学校」です。上下2学年との関係性、上下2学年を超える場合でも兄弟・親の関係などのネットワークを活用し、つながりを形成することが容易にできます。高校や大学などの教育機関よりも生徒間のつながりが多く、まさに地縁・血縁社会。しかも、小規模市町村は大抵が公立なので、義務教育を修了するまではみんなが同じ中学校の出身になるということ。つまり、学年の横のつながりができるということ。学区的にも人口1万人に1つの中学校ほどです。中学校は最強の社会装置となります。考えてみると至極当然の話ですが、これが大きな力となるのです。

地縁・血縁社会では、将来的にしがらみを生みますが、でもこれを利用し、しがらみのない若いうちに関係性を利用すること。マイルドヤンキー的なのは重々承知していますが、ソーシャルネットワーク時代における地域活性の潜在力はここにあります。

では、どうやってつながっていくか?

■つながれる物理環境、つながれない心理環境

いまやスマートフォンやSNSの普及でつながれるようになっています。あとはつながる場とかきっかけだけ。でも、いくらソーシャルメディアがあるからって、みなさんどれくらい同級生に友達申請しましたか?絡むにも久しぶりすぎてなんか小っ恥ずかしかったり躊躇することもありますよね。

テレビ電話。覚えていますか?「おばあちゃんとテレビ電話しよう!」みたいな宣伝が渦巻いた時期もありましたが、テレビ電話するにも、その前にヘアスタイルや服装などの身だしなみを気にしてしまうが多く、文化的・心理的なコストにより、結局は会って話すくらいの精神摩耗があります。会って話すよりも緊張感があるコミュニケーションツールかもしれませんね。

「スカイプ」や「ツイキャス」という成功事例はありますが、あれは非日常の位置付けですので。「スカイプ」は主にミーティングなどの議題のあるテーマが多く、毛繕い的なコミュニケーションではあまり使われないかと思います。10代の方々に人気の「ツイキャス」はイベント体験的で、これも非日常的なコミュニケーションですね。

よって日常をベースにしても心理的な環境により出身者はつながりにくいのです。

そのため、非日常的な強いコンテンツで惹き付ける必要があります。

■ネオ県人会

かつては(といっても今もありますが)「県人会」というものがありました。

グーグル画像検索で「県人会」と入力してみてください。ジャパンアズナンバーワンの時代が見えてくるかと思います。コミュニティは人と同じく歳をとっていきますから。県人会も高齢化が進んでいるのです。

そこで、出身者同士がつながれる非日常としては、県人会をアップデートしたようなイベントが適しているかと考えています。それもリアルの。

実践的に現に開催予定(詳しくは下記)ではありますが、私が立ち上げたリマンベという地域メディアでこれまで11人の出身者に取材をしてきて確信したことがあったからです。それは、「誰しも問題意識をもっている」ということ。東日本大震災以降、とくに若者の社会貢献力が高い数値を出しています。(厚生労働省「若者の意識に関する調査」http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000021856.html

みんな問題意識はもっているんです。でも、その問題意識を発散できる機会がなく、表面上に出てこなかっただけなんだと思います。なので、県人会でビンゴ大会とかしなくてもよく、そんなムラムラを解消できる非日常をつくっていくのです。それが地元と出身者をつなぐネオ県人会です。

住民自治というものの、町の問題を町民だけで考える時代は古いのではないかと思います。都市部は別ですが、小さな田舎ですとその子ども世代、孫世代にも大きく関わってくる問題ですので、出身者から地域運営の適切な判断のもととなる情報の輸入を進めるみたいなものでもありますね。健全な外圧、閉塞感を打ち破り、変化を受け入れるポジティブな空気づくりです。

人口1万人を切るというのは逆にチャンスですよ。廃統合によりコンパクトな組織体系になれば、機動力のある行動がとれるので。

子・孫世代から要職に就いている世代へプッシュをして、「子のためなら」「孫のためなら」という大義名分を与えて、背中を押してあげるのですよ。メンツですから、田舎は。世間体を一番気にする社会ですから。政治参画の観点では議会に意見を出すとか正当なやり方もありますね。議員も地縁・血縁社会に組み込まれていますので。

いくら地域活性に関する法整備が整っていようが、法律そのものは現実世界にある問題を解決してくれるわけではないので、究極的には自分で行動を起こして汗を流さないといけないのです。漠然とした「地域活性化」観では何にもなりません。具体的なプランがない抽象的で耳障りのいい言葉だけをつかっていても、ねぇ。頭にも汗をかいて考えないと。持続可能な状態にしたいのか、規模を拡大したいのか、それによってとるべき方法も変わってくるでしょうし、企業経営のようにビジョンがないと軸がぶれぶれでつぎ込んだリソースが帰ってきませんからね。

出身者を集めたフォーラムでは、ふつうに役に立って楽しめる登壇イベントをご用意しておりますので、田舎から東京に出てきたもののこれからのキャリア形成についてしっかり考えてみたい方や、マキシマム ザ ホルモンファンのハラペコさんたちも大歓迎です。席が埋まりつつありますので、皆様のお早めのお申し込みをお待ちしております。

「まんべフォーラム in TOKYO 地元と出身者をつなぐ、ネオ県人会。」

人口1万人未満の市町村については、生き残りをかけて本格的に対策に乗り出さなくてはいけません。そのために出身者のポテンシャルを活かすべく、このような活動を広めていってはいかがでしょうか。勉強にさせていただきたく、皆様からのご意見もお待ちしております。

僕たちはみんなだんだん歳をとる。僕のやさしさもだんだん歳をとる。私もいつか同じようにしがらみに染まっていくのだから、今、こういう場をつくらないとね。

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