一票を投じるのは、誰のため?山下雄平議員が大学生に語ってくれた、初めての「選挙と政治」 #YoungVoice

政治がいかに東京中心で回ってしまっているのかを再認識したと同時に、自分も同様の東京中心主義で考えてしまっていることに気がついた。

18歳から23歳の若者が、ハフポスト日本版とともに国会議員や自治体の首長らを訪ね、率直に質問をぶつける企画「Young Voice」。田嶋嶺子さんは、山下雄平・参院議員、吉良佳子・参院議員にインタビューした。

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ハフィントンポスト日本版のYoung Voiceという企画で、山下雄平議員へお話を伺ってから半月ほどが過ぎた。すぐに感想を書けばよかったと後悔しているが、印象的だった点をじっくり思い出しながら挙げていくことにする。

まず新鮮に感じたのが、山下さんが話してくださった故郷(選挙区)、佐賀の話だ。

人口が数千人という規模の町に海産物屋の息子として生まれたところから、自分の町に鉄道がなかった話、それが政治について考えるきっかけとなった話など、地方の現実とご自身の体験をつぶさに話してくださった。

国会議員の中には、親の世代から議員だったりすると、東京育ちのはずなのに選挙区を「地元」と呼んで語る人も多くいる気がする。しかし山下さんはそうではなく、生まれ育った土地の代表として来ているという気持ちが強く伝わってきた。

このお話を聞いて私は、「各地方の代表が東京に集まってきて会議を開く」という国会の本来の姿を生まれて初めて意識した。今までも理屈では分かっていたのだが、実感としてリアルに感じたことは無かったからだ。

政治がいかに東京中心で回ってしまっているのかを再認識したと同時に、自分も同様の東京中心主義で考えてしまっていることに気がついた。サミットのように、国会も開催地を巡回すれば地方活性になるし、本当の地元で育った議員が増えるのに、と考えてしまうほどであった。

政治家とのつながりって難しい

私は今回、このような機会をいただいて政治家の方から直接お話を聞くことができたが、普段は全くと言っていいほど政治家と縁がない。

しかし、同じことを政治家の方でも悩んでいるそうだ。山下議員は、「若い女性の有権者との接触がもてない」とこぼしていた。働いていたり、子育て中ではなかなか時間がもてない人が多いからだ。また、山下さんの方から地域の学校の運動会などに出向こうと思っても、「政治活動はご遠慮ください」と断られてしまうこともあると残念そうにおっしゃっていた。

私や他の若い世代にとっても、同じようなものではないだろうか。「決して政治に興味がないわけではないのに、投票でしか意思を示せない」というのが現状だ。そして、たった一票を投じるだけであとは何も関われないから、結局政治から心が遠のいてしまうことが多い。

このようなミスマッチは、どのように解消すればよいのだろうか?とてももったいない。

今回の企画を通して、特定の誰かを応援することだけが政治活動ではないということを知った。ただ話を聴く、会話するだけでも全然違う、政治がぐっと生身のものに感じられたのだ。

実際、自分の選挙区以外の政治家の話を聞く、という機会はあまりないが非常に有益だ。なにより、候補者・有権者という立場にないので、フラットに意見交換ができる。

しかし、今後もこのような体験をできることはそうそうない。政治家の人も「もっと若い人と話したい、知りたい」と思っているのに、どうすればいいだろう、と歯がゆく思う。

「先を見る」こと

この記事を読んでいる方の中で、LGBTのビデオをご覧になった方はいらっしゃるだろうか?

山下議員は、今後の技術発達に伴い、同性間で子供を持つ可能性を含めた議論、法整備を進めるべきだとおっしゃっていた。政治家の皆さんはとても真摯に答えてくださっていたが、一人だけ「この先」のことを見据えて、具体的な発言をしていたのが印象深い。

また、お子さんが生まれたばかりとのことで、「2100年くらいまでは自分も責任をもつ世代」ということばにもハッとさせられた。

投票の際に一般的に言われるような、「未来の世代が生きやすい社会にしよう」という指標は分かりやすいし共感できる。その一方で、「有権者は結局自分に都合のいい政治家ばかり選ぶ」という意見があるのも事実だ。選挙前になると、実際に「バラマキ」と呼ばれる行為も横行しているし、そんな中で、自分も常に適切な候補者を選べるかといえば少し不安が残る。

しかし、山下さんの発言を聞いて、自分の子供(もしくは孫かもしれない)が大きくなる頃のことを考えると、あまり適当に決めてはいけないことを改めて痛感した。

私が就活先の会社を調べるときにワーキングママに優しいどうかそれとなく気にするだとか、小さなお子さんを持つ家庭が引っ越し先を決めるときに今後の子供の生活のことを考える、ということは普通のことだ。だから、投票先を決めるときも同じように、自分とつながりの深い次の世代のことを考えて選べばいいのか、と思った。

しかも一度投票してしまったら覆せない、という点では就職先や引っ越し先より大事かもしれない。「どんな人を選べばいいのか」という疑問はまだ完全には晴れないが、少なくとも「印象のいい人」で選ぶのはやめようと思った。明るいことを言っているように見えても、その話の将来計画に整合性はあるか、聞こえはいいが無理な計画を語っていないか、しっかり見定めたい。

また、山下議員から「全部の政策を理解しようとしなくて良い。まず何か一つ興味を持てば芋づる式につながるかもしれない」とのアドバイスもいただいた。

選挙は今後の社会の方向性が決まる、重要な分岐点だ。今度の選挙が私にとっては初投票の機会となるのだが、自分もだんだんと次の世代を考えて決断を求められる年になったのだ、と実感する機会となった。

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