作る前に売れるかどうかを検証する

改めて顧客インタビューとはどういうことなのか整理したいと思います。私が顧客インタビューでしたいことは「作るより先に売りこみをする」ということです。

いまMisocaでは新機能の開発をしていて(過去に新機能を開発していなかった時期はないのだけど)、それが大きめのものなので顧客インタビューをしようとしています。

顧客インタビューをするというと

「市場調査やユーザーテストなんて意味がないし、顧客は本当に欲しいものは知らない。とっとと作ったほうが早い」

というようなことを言われることがあります。私も早く作りたい方なので気持ちはわかります。ただ、そういう意見が出てくるということは、私やMisocaが採用しているリーンな製品開発の文脈でいう顧客インタビューとは前提の認識が違っているということです。そこで、このエントリでは改めて顧客インタビューとはどういうことなのか整理したいと思います。

私が顧客インタビューでしたいことは「作るより先に売りこみをする」ということです。

例えば私は顧客インタビューを初めてする前はこういうことを思いました

・インタビューに最適な人はどうやって見つけるんだ?

・都合のいいインタビューイーを見つけて意見を聞いても意味がない

・何人にもインタビューするのは時間がかかって大変だ

しかし、よくよく考えるとこれらのことはどうせ製品を作ったらしないといけないことです。欲しいと思ってる人を探したり、たくさんの人に製品を知ってもらうようにしたり、利用者に意見を聞いたり・・・つまり本当に製品を作った後に「買いたい!」という人を探すことができるというなら、先に探すことだってできるはずだということです。

そして、もし先に「買いたい!」という人に出会えたなら、どうしてその課題を解決したいのか、他にどんな機能がセットになっているべきなのか、逆に不要な機能は何なのかを聞くことができ、最初の開発期間を数週間単位で短縮でき大きな無駄の削減になります。

Misocaの例でいうと開発前に次のようなアンケート用紙を持って私の知り合いをまわりました。

Misocaは私自身の「請求書が面倒くさい」という気持ちから始まったサービスですが、実際他の人はどう思っているのか聞きに行ったのです。「面倒くさい」と共感してくれる人も多かったですが「大事な仕事だから手渡しにこだわってる」「楽しい仕事だからそういうサービスは使わないと思う」というような仮説を壊すような意見もたくさんもらいました。

そんな中でも「お金を払ってでも使いたい」という人に、じゃあ実際どういう機能が最低限必要かということを聞いて最初のリリース時に必要な機能を決めていきました。

あの時インタビューをしていなければ、必要な機能が何かわからず、あれもこれも「あるべきだ」「ないのは非常識だ」と想像上の顧客の意見を聞きながら開発し、リリースに何倍も時間がかかったと思います。

作ってから売るのではなく、売れるかどうか検証してから作る。それが事業の成功確率を上げ、自信を持って開発できるコツだと思います。

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