クールなジャパンは国内外でズレがある! クールジャパンの次なるキーワードは?

「スキャナマインド」という手法で調査したところ、日本人が考える「クールジャパン」と外国人の捉えるそれの間にはズレがあった。外国人の捉える「クールジャパン」とは何だったのだろうか。

無意識を目に見える形に!? 量子マーケティングとは

先日、『WIRED(ワイアード)』日本版が主催するイベント「量子マーケティングで可視化された『ポスト・クールジャパンの行方』」に行ってきました。

まず、「量子マーケティング」。耳慣れない言葉ですよね。これは「量子力学」という学問を用いた、まったく新しいマーケティング手法。詳細はリンク先*(http://www.scanamind.jp)を読んでもらえたらと思いますが、その手法を用いたシステム「スキャナマインド」では、調査ターゲットが自分でも気づいていない「無意識」を、目に見える形で、構造的に知ることができるのです。実は、人が何かを選択するときに大きく関わるのは、その人の「無意識」の部分。だからこそ、この手法は画期的なのです。

ワイアード編集部は、事前に「クールジャパンの『次』をみんなで考えよう」と題して、スキャナマインドを用いた調査を実施しました。その結果が示したもの。それは、日本人が考える「クールジャパン」と外国人の捉えるそれの間にはズレがあるという事実だったのです。

「ウォームテック」で、日本ならではの道筋を探せ!

では、外国人の捉える「クールジャパン」とは何だったのでしょう。例をあげると、まず前回の記事(リンク)でも取り上げた日本の「食文化」。さらに出てきたのが、「公共交通のオペレーション」でした。例えば、新幹線の車内清掃チームの鮮やかなオペレーション。終着駅・東京での折り返し運転までのわずかな時間で、すべての清掃を完璧に終える。さらに清掃の始まりと終わりには、チームが一列となってお辞儀する。まさに、日本的なおもてなしの「あたたかさ」とオペレーション「技術」の融合ですね。それを編集部では「ウォームテック」と呼び、「クールジャパン」の次の姿として提案したのです。

「技術」というと今のメインストリームに沿って、さらに上を目指すというイメージを持ちがち。でも日本については、車はドイツ車を、IT企業はGoogleを目指さなくてもいいのかもしれない。それが編集部の意見でした。「ウォームテック」は、日本のこれからを示すキーワードの一つとなるのかもしれません。

「感じて」じゃ、足りない。言葉にしなきゃ、伝わらない。

イベントの最後には、「ウォームテック」をすでに体現する、2つの企業が登場しました。気鋭の家電スタートアップブランド「バルミューダ」と日本を代表する高級車ブランド「レクサス」。バルミューダといえば、自然界に近い心地よい風を追求した、革新的な羽をもつ扇風機・グリーンファン。製品は山形県米沢市で作られる日本製で、今後はグリーンファン・ジャパンの名で本格的な海外進出に乗り出します。

トークの中で、バルミューダの寺尾玄社長は海外へ打ち出すにあたっての課題を語りました。グリーンファンが生み出す風を体感しても、それが特別な心地よさだという「価値」までは外国人には伝わりにくいと。

その寺尾社長の言葉を聞いて、「感じ取ってください」では足りない、「具体的なキーワード」で伝えないといけない、そう感じました。レクサスPRコミュニケーショングループマネージャー河辺徹也さんも同じように語られましたが、その感じ取った「何か」が、どんな「価値」を持つのか、文化の異なる外国人に分かってもらうためには、具体的に言葉で伝えないといけない。前回より繰り返しますが、日本人が苦手とするプレゼンテーションが、やはりここでも必要なのではないかと。

五感は人類共通のこと。だからこそ、「文化が違うから」とあきらめず、言葉で伝え続けること。それを重ねて、ようやく製品の価値の良し悪しを判断してもらう舞台に立てる。やっと選択肢の一つに数えられるのではないでしょうか。

さて、今回のイベントを経て、バルミューダ寺尾社長は海外に向けてどんな言葉を発信していくのか? 楽しみに見守りたいですね。

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