三角パズルに挑戦! 第27回(2015年第5回)  統計学と集合論の曲解が悲劇を生む

こんにちは、数学・教育ライターの鍵本です。先週の「イスラム国」のニュースがあまりに衝撃的でした。違う「国家」や「民族」や「宗教」や「信条」に属しているという理由で人が人を殺す、という事実。その様子を画像や映像で見せ付けてしまう現代のネット社会。私たちはどうやって過ごしていけば良いのか、とても深く考え込んでしまいました。

こんにちは、数学・教育ライターの鍵本です。1週間、自主休載してしまいました。楽しみにしていただいていた皆様、申し訳ありません。

先週の「イスラム国」のニュースがあまりに衝撃的でした。違う「国家」や「民族」や「宗教」や「信条」に属しているという理由で人が人を殺す、という事実。確かに長い人間の歴史では何度も同じようなことが繰り返されてきたのだとはいえ、その様子を画像や映像で見せ付けてしまう現代のネット社会。私たちはどうやって過ごしていけば良いのか、とても深く考え込んでしまいました。

私は肩書きとして「数学・教育ライター」を名乗っていますが、実際のところは大学では情報系の科目を担当していることもあり、むしろ「ネット社会」とか「国家の垣根」ということにとても関心があります。

そういうことを考える上で重要なのは「民族」や「国籍」で一くくりで考えないことだと思います。どんな集団にも例外はいるし、ある程度の傾向はあるかもしれないが、その集団全員が同じではない、ということ。別の言い方をすると「○○人は○○だ」とかそういう傾向があるとしても、全員がそうではない、ということです。

例えば私は兵庫県出身の奈良市内在住でバリバリの関西人なわけですが「関西人は服装が派手だ」とか言われると、そういう平均的な傾向はあるのかも知れませんが「それは違う」と思ってしまいます。地味な関西人の知り合いもいっぱい知っているからです。

数学的な表現を使うなら、統計学と集合論では発想が違う、ということでもあります。例えば100人の関西人のうち、99人の服装が派手で、1人の服装が地味な場合を考えると、

統計学では「関西人は服装は派手だ」という傾向が読み取れる、と結論付けられるし、

集合論では「関西人は服装は派手だとはいえない」と結論付けられます。

どちらもある意味で極端な発想なのですが、それは元をただせばイギリスで発達した「帰納法」とフランスで発達した「演繹法」にまでたどり着くようにも思うのです。

両方とも間違ってはいないのですが、それを曲解すると間違えた結論になってしまいます。すなわち統計学=帰納法で曲解すると、関西人は全員服装が派手だ、となってしまうし、集合論=演繹法で曲解すると、関西人も全世界の服装の傾向の違いは存在しない、となるわけです。

今回の「イスラム国」の事件にせよ、最近の「ヘイトスピーチ」にせよ、今まで起こってきたさまざまな事件の多くは、そういう「統計学」と「集合論」との曲解が原因なのじゃないか、と思ってしまうのです。結論としては、みんなあまり曲解をするな、と。

さて、今回もα4(従来ルール)1問とβ4(変化球ルール)1問の合計2問です。

1問目はα4です。ルールはこちらをご覧ください。解答は下のほうのリンクをクリックしたら出てくるようにしておきますので、解けたら答え合わせをしてみてください。

2問目のβ4は、10個の○の中に1から10の異なる数字を入れて下さい。周りの矢印の数字がその列の数字の和であることは同じです。数字が大きくて少し難しいかもしれませんが、頂点の3つは数字が入ってるので、実際には7個の数字を入れるだけです。

それではいよいよ問題です!制限時間はあくまで目安です。

1問目、従来のルールです。制限時間5分。

2問目は1から10までの異なる数字を○の中に入れていきます。制限時間5分 

解答はこちら。

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