篆書で書き初め! 伊藤雲峰先生による「大阪書会」に参加しました

「書道」に対するコンプレックスを減らすことを目的としています。

先日、2018年1月28日に、書家の伊藤雲峰先生による「第3回大阪書会」が開催されました。会場は大阪市内で筆者が運営する「KSP学院」です。

伊藤雲峰先生の書会では、篆(てん)書という書体を筆で書くことで「書道」に対するコンプレックスを減らすことを目的としています。今回は1月ということもあり「篆書で書き初め」というサブタイトルで行われました。

伊藤雲峰先生
伊藤雲峰先生
Satoshi Kagimoto, 2018

篆書というとあまり聞きなれない方も多いですが、身近でわかりやすい例でいうと日本のパスポートの「日本国」という字の字体です。実は現在使われている楷書よりも歴史が長く、その書体に漢字の成り立ちが隠されていることも多く、とても勉強になるのです。

正直なことをいうと、筆者も筆がとても苦手で、色々な集まりに参加した際、受付の記名帳わきに小筆がおいてあったりすると「どうしよう!」となってしまう一人なのです。ところが篆書の場合、普段私たちが接している楷書と違って筆の運び方が違ったり、絵を描くような感覚で文字が書けるので、意外と楽しいのです。これは私でも結構楽しめます。

今回は「雪中松柏」という四字熟語を、篆書で八つ切り(長細い紙)にうまく収めて書くことが目標でした。「雪中松柏」とは、寒い冬の雪の中でも松や柏の木は緑の葉を絶やさないように、志が固いことのたとえです。書き初めにふさわしい四字熟語ですね。

まずは伊藤雲峰先生から最初の「雪」という字について、成り立ちなども踏まえていろいろ解説していただきます。元々の「雪」という字は「雨」と下の「ヨ」の間に「生」の字が2つ並んで挟まっていた、すなわち「雨」の下に「彗(ほうき)」だったとのことです。そして「彗」という字はほうきを持った手の象形文字なんだそうです。じゃあなぜ「ほうき」なのかというと、すなわち、雪という漢字には「ほうきで掃き集めることができる雨」という意味があり、昔の人は雪を「すくいとることのできる雨」だと見立てていたのだそうです。なるほどね~。

「雪」のいろいろな書風を解説する伊藤雲峰先生
「雪」のいろいろな書風を解説する伊藤雲峰先生
Satoshi Kagimoto, 2018

色んなバリエーション(専門用語では「書風」といいます)の篆書から、作品としてのバランスを考えつつ気に入った字を選んでいきます。作品としてのバランスというのは、例えば雪という字をこの書風の文字にするなら、下の中という字は細長いほうが見た目がきれい、とか空白がうまく使えるとか、そういうことです。上下のバランスや空白、さらに統一性なども考えると、たかが4文字とはいえ、どの書風を選択するといいのか悩んでしまいます。結構この選択も奥が深いのです。

4つの文字の説明を受けた後は、いよいよ実際に書きます。参加者のみなさん、集中力を発揮して書に取り組んでらっしゃいました。

Satoshi Kagimoto, 2018

1時間半で参加者全員が作品を仕上げました。作品をホワイトボードに磁石で貼って、お互いに作品を鑑賞します。ほぼ全員が違う書風の文字を選択して、十人十色の作品が完成しました。

ちなみに筆者の作品は左から4番目(笑)
ちなみに筆者の作品は左から4番目(笑)
Satoshi Kagimoto, 2018

伊藤雲峰先生はこんな書会を、大阪のほか東京や名古屋で開催していらっしゃいます。これからほかの地域でも書会をするとおっしゃってます。よろしければみなさんも一度、篆書の書会に参加してみてはいかがでしょうか? 詳しくは伊藤雲峰先生に直接お問い合わせくださいませ。

伊藤雲峰書会:電子メール homeranian@gmail.com

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