こんにちは、鍵本です。長い間ご無沙汰してしまいすみません。
GWの前半は、溜まっていた仕事をこなすのにてんやわんやし、後半は知人の訪問やらイベントやら打ち合わせやら、さらに知り合いが自宅を改装して文化サロンを始めるというので、その準備をお手伝いする仕事が舞い込んできたりと、忙しい毎日を過ごしていました。GWがやっと終わってほっとしているところです。
ところで、GWが終わるとすぐに始まるのが中間試験。私が勤めるコリア国際学園でももうすぐ中間試験が始まります。
コリア国際学園というのは、大阪府茨木市にあるインターナショナルスクールで、ここで数学を教え始めてもう8年目になりました。この学校は「国際」というだけあって、在日コリアン、韓国からのニューカマー、普通に日本の教育を受けてきた学生、さらに別の国から来た学生もいて、学生それぞれの数学力や基本知識が全然ちがいます。この学校で数学を教えるというのは結構大変なことです。
特に韓国からやってきた学生は「大学修学能力試験」(略称「修能=スヌン」)という、11月に行われる大学入試のための共通試験のイメージがあるせいか、日本の答案の書き方に少しとまどう学生が多いです。以下に掲載するのが、昨年秋に行われた修学能力試験の「数学領域」の文系用問題(A型)の1ページ目です。
問題の翻訳を書いておくと(数式は○で表します)、
1 ○の値は?[2点]
2 2つの行列○,○について、行列A+Bのすべての成分の和は?[2点]
3 ○の値は?[2点]
4 次のグラフの各頂点間の連結関係を表す行列の成分のうち0の個数は?[3点]
こんな風に小さな問題がいくつか並んでいて、下の5つの選択肢から正しい答えを一つずつ選んでいくという形式です。後ろのほうに普通の記述式の問題もあるのですが、多くの配点が5択問題に割かれているのです。
ちなみに範囲は、日本の高校数学では新課程で姿を消した「行列」や、理系しか学習しない「極限」、さらに日本では学習しない「グラフ」などがよく出題されます。問題はだんだん難しくなりますが、最初の方の問題は結構さっと答えられるものが多いです。
比較のために日本のセンター試験の問題(2015年1月の数学IAの1ページ目)も掲げておくと次のような感じです。
このように、日本の問題は選択肢ではなくて文章がどんどん進んでいく形式です。最初のほうで計算間違いをしてしまうと、後がすべて間違える可能性もあります。
試験範囲も、ともかく日本の数学は関数を徹底的に重視していて、数学IAでも2次関数の問題が多くの配点を割いて出題されます。韓国の行列や極限、指数対数がたくさん出題されるのとかなり対極をなしている感じがします。
日韓以外のほかの国の問題もいろいろ面白いのでしょうが、とりあえず隣国の日本と韓国を比べるだけでもかなり大きな違いがあるのが興味深いです。こうやってみると、高校生の勉強意欲や力をかける部分など本当に差が大きくて、教える側としては難しいものがあるわけです。
それぞれの国の出題者の思いが感じられるので、その点は面白いのですが...習う範囲も出題形式もかなり違う2つの国の数学事情について、もう少し深く考えてみる必要がありそうです。